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番外編⑥ 千秋と修平と受験と受難⁉︎ 3
……何がまずいって、ってかこれも俺の気の持ちようだと思うんだけど。
今の俺は、修平と同じ部屋に2人っきりでいるのは少し辛い。
アメとムチを使い分ける修平は今も適度な禁欲を維持しながら俺に勉強を教えてくれている。
確かに、集中しなきゃいけないときにヤリまくるのも駄目なのはわかってるけど、意識しないでおこうとすればするほど、気になって仕方なくなってしまうというか。
やっぱり俺は健康男子なので好きな奴が近くにいて……ムラムラしないわけがなくて。
なんかこういうのって、前にもあったような……。
「なに考えてるの?」
……1週間やそこらでムラムラするってこの先どうするんだよ、俺。
受験はまだまだ先なんだぞ。今からこんなんでこの先もつのか?
テスト禁欲に入るまでわりとヤッてたからな……急になくなったからか?
修平の問いかけも気付かずにいろいろと考え込んでいると修平に顔を覗き込まれた。
「何を考えてるの?」
「あ、えっ……いや……」
ちょっと吃驚して口籠ってしまったけど、あんたのせいでムラムラしてます……なんて言えわけなくて口をつぐむ。
こうなったら勉強に集中だと思い参考書に視線を落とすも、不意に修平の指が俺の耳をなぞった。
予想してなかったから体が大きくビクつくいてしまう。
「な、何すんだよっ」
「千秋が変だから」
「変じゃねぇし」
「……嘘」
そう言うと今度は俺の耳元で囁くように言った。
微かに当たる息とかそれだけの刺激すら下半身にきそうだからやめて欲しい。
定期テストとかとは訳が違うんだ。
志望校難しいって言われた。成績上げなきゃいけない。もし上がんなかったら……。
頭の中ではネガティブなことばかりがぐるぐる回り、俺は俯いてしまった。
「……しゅ、集中できねぇんだよ」
「集中してるように思うけど?」
「そりゃ前よりはな。でも、先生に言われたんだ……次の試験で75点以上取れないと志望校やばいって」
そう言ったとこで急に部屋が静かになった。
そして暫くすると、修平の落ち着いた優しい声が響く。
「……それで焦っていたのか。気付かなくてごめんね」
「いやそういうつもりで言ったんじゃねぇよ」
「どうやったら頑張れるかな?」
修平は腕を組むと何やら考えているようだった。
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