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第12話

 風呂からあがり、バスタオルでぐるぐる巻きにしてベッドに誘った。  放置された快感に気をとられてぽうっとしている傑は、シーツに押し倒して、後ろ向きにしてもされるがままだった。  お尻だけを高く上げさせて、ほぐした穴にローションを刷り込むように馴染ませる。  ぷっくりと腫れてきた前立腺を押すと、薄い唇から艶めいた声がまろびでた。 「きもち?」 「ん……たぶん……」  くぱ、と指で穴を広げてみる。ローションが糸を引いて伸びる。  ここに今からはいるんだと思うと性欲で支配された体が昂った。 「いれるよ」  パッケージを歯を使って切ってゴムを被せていると、ちらっと振り返ってくる。  そしてなんだかぽやっと赤くなると俯いてシーツと見つめあっている。 「なに?」 「なんか、ギャップが……」 「ギャップ?」  こくん、と小さくうなずく丸い後頭部。  また榛色が振り返ってこっちを見ている。  何がギャップだったんだろう、と思いながら自分のちんこにローションを塗ったくって軽く扱いた。  慣れた快感に眉を顰めたら、ほんのりピンクだった白磁の肌が真っ赤に花咲いた。 「具合悪い?」 「ちがう、ちがうよ……」  後頭部がふるふる震えている。  背中に覆い被さって、おしりの間に擦りつけながらうなじに口づけすると、ふるりと肩を震わせた。  それが嫌悪ではなくて、快感なのはとろけた榛色が語っている。 「どうしたの?」 「この体勢いやだ」 「前からだと苦しいけど」 「いい。顔見ながらしたい」  背中から退くと、自分で仰向けになった。  開いた足の間にわりこんで、内腿を撫でると白くて柔らかい肉が手のひらに吸いつく。  そのまま、足の付け根に向かって手のひらを這わせ、会陰にやんわり指を押しつけると、むず痒そうに身を捩った。  落ち着かなさそうな視線をとらえると、傑は赤い顔のまま固まった。 「ギャップってなに?」 「……そういうとこだよ」 「全然わからないよ」  ちゃんと言わないことに焦れたら、突然にやっと笑った。  あ、なんか誘導された、と思った瞬間に首に長い腕が巻きついて引き寄せられる。 「こいよ」  吐息たっぷりとウィスパーボイス。  耳たぶを唇で食まれ、興奮でぞくぞくっと肌がざわめいた。  さっきまで赤い顔して照れていたのに、優位をとって王様を気取っている。  よし、泣かしてやろう。 「仰せのままに」  ていねいに解したアナルに先端をあてると、ぬる、と呑み込まれる。  とろけた肉壁に包まれる感覚に息を詰めた。  首にしがみつく腕がきつく締まる。  幸せだが、窒息死しそうだ。 「傑、自分でこすって。さっきみたいに」 「やだ」 「……キスしたいな」  言い方を変えると、腕が解けていく。  ただ、手は自分のを触るわけではなく、肩に乗ったままだった。  衝撃的だったのか、傑はまた半泣きだ。  榛色は濡れ、目元は真っ赤になっている。 「痛い?」 「いたくないよ……キスして優ちゃん……」  唇を軽く触れ合わせ、そっと舌を差し込んだ。  前歯の歯茎をなぞると、やんわりと開いて迎え入れられる。  舌を絡め、あふれる唾液を飲ませていると中が開いていく。  誘われるままに腰を少しずつ揺らしながらゆっくり押し入った。  喉の奥で傑が喘ぐ。  苦しそうに、それでもその先を期待している目に興奮が抑えきれない。 「きもちよくなれそう?」 「うん……だからもっとキスして……」  まだ快感を拾う前の、ぼんやりとした時間。  ゆったり唇を合わせながら、ふたりの体がどんどんお互いに馴染んでいく。  あとすこしで最高に気持ちよくなれる気がした。  たっぷりキスして、少しずつ腰を揺らし続ける。  絡めた舌を気まぐれに噛んだら、きゅん、とナカが締まった。

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