12 / 38
第12話
風呂からあがり、バスタオルでぐるぐる巻きにしてベッドに誘った。
放置された快感に気をとられてぽうっとしている傑は、シーツに押し倒して、後ろ向きにしてもされるがままだった。
お尻だけを高く上げさせて、ほぐした穴にローションを刷り込むように馴染ませる。
ぷっくりと腫れてきた前立腺を押すと、薄い唇から艶めいた声がまろびでた。
「きもち?」
「ん……たぶん……」
くぱ、と指で穴を広げてみる。ローションが糸を引いて伸びる。
ここに今からはいるんだと思うと性欲で支配された体が昂った。
「いれるよ」
パッケージを歯を使って切ってゴムを被せていると、ちらっと振り返ってくる。
そしてなんだかぽやっと赤くなると俯いてシーツと見つめあっている。
「なに?」
「なんか、ギャップが……」
「ギャップ?」
こくん、と小さくうなずく丸い後頭部。
また榛色が振り返ってこっちを見ている。
何がギャップだったんだろう、と思いながら自分のちんこにローションを塗ったくって軽く扱いた。
慣れた快感に眉を顰めたら、ほんのりピンクだった白磁の肌が真っ赤に花咲いた。
「具合悪い?」
「ちがう、ちがうよ……」
後頭部がふるふる震えている。
背中に覆い被さって、おしりの間に擦りつけながらうなじに口づけすると、ふるりと肩を震わせた。
それが嫌悪ではなくて、快感なのはとろけた榛色が語っている。
「どうしたの?」
「この体勢いやだ」
「前からだと苦しいけど」
「いい。顔見ながらしたい」
背中から退くと、自分で仰向けになった。
開いた足の間にわりこんで、内腿を撫でると白くて柔らかい肉が手のひらに吸いつく。
そのまま、足の付け根に向かって手のひらを這わせ、会陰にやんわり指を押しつけると、むず痒そうに身を捩った。
落ち着かなさそうな視線をとらえると、傑は赤い顔のまま固まった。
「ギャップってなに?」
「……そういうとこだよ」
「全然わからないよ」
ちゃんと言わないことに焦れたら、突然にやっと笑った。
あ、なんか誘導された、と思った瞬間に首に長い腕が巻きついて引き寄せられる。
「こいよ」
吐息たっぷりとウィスパーボイス。
耳たぶを唇で食まれ、興奮でぞくぞくっと肌がざわめいた。
さっきまで赤い顔して照れていたのに、優位をとって王様を気取っている。
よし、泣かしてやろう。
「仰せのままに」
ていねいに解したアナルに先端をあてると、ぬる、と呑み込まれる。
とろけた肉壁に包まれる感覚に息を詰めた。
首にしがみつく腕がきつく締まる。
幸せだが、窒息死しそうだ。
「傑、自分でこすって。さっきみたいに」
「やだ」
「……キスしたいな」
言い方を変えると、腕が解けていく。
ただ、手は自分のを触るわけではなく、肩に乗ったままだった。
衝撃的だったのか、傑はまた半泣きだ。
榛色は濡れ、目元は真っ赤になっている。
「痛い?」
「いたくないよ……キスして優ちゃん……」
唇を軽く触れ合わせ、そっと舌を差し込んだ。
前歯の歯茎をなぞると、やんわりと開いて迎え入れられる。
舌を絡め、あふれる唾液を飲ませていると中が開いていく。
誘われるままに腰を少しずつ揺らしながらゆっくり押し入った。
喉の奥で傑が喘ぐ。
苦しそうに、それでもその先を期待している目に興奮が抑えきれない。
「きもちよくなれそう?」
「うん……だからもっとキスして……」
まだ快感を拾う前の、ぼんやりとした時間。
ゆったり唇を合わせながら、ふたりの体がどんどんお互いに馴染んでいく。
あとすこしで最高に気持ちよくなれる気がした。
たっぷりキスして、少しずつ腰を揺らし続ける。
絡めた舌を気まぐれに噛んだら、きゅん、とナカが締まった。
ともだちにシェアしよう!