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第14話
軽くシャワーを浴びて液体もろもろを流すと、やたら気だるい色っぽい美形が目の前に現れた。
内側から香る色気はきっとおしりでの快楽を味わったせいだ。
傑はだるそうにシーツに体を這わせながら、ぽやっとしている。
まだ頬の赤みが抜けないのは、さっきまでの快楽を反芻しているからかもしれない。
無防備な背にあるタトゥーを指でなぞると、背中がぴくんと反応する。まだきもちいいのが残っているようだ。
この翼がセックスするとくっきりと赤くなることを知ってしまった。
えっちだなあ、と思いながら舌を這わせると「それ好き?」と蕩けた声で聞かれた。
痕がつかない程度に吸って肯定する。
「尻でのえっちってあんなにきもちいーもんなの」
「きもちよかったなら何よりだよ」
ペットボトルの水を渡すと、ねだるように見つめてくる。
俺は仕方なく自分で水を煽って、口づけをしながら、まだ熱い口の中にそっと水を流しこんだ。
「わりと慣れてるよな」
「俺が? なにに? 口移し?」
「じゃなくて、セックス」
「人並みだとは思うけど……」
「なんかイメージと違う」
「そう……?」
「うん。でもきもちよかったからまたしようね」
長い腕が肩に回る。
その手がさっき自分でつけた傷を撫でる。
やたら満足そうな横顔を見ていると、愛おしそうにキスをしてくれる。
何がそんなにいいのかわからないが、腰に手を回しながら傑は夢見るようにつぶやいた。
「優ちゃんとなら、もっときもちいいえっちできそう」
とろりと吐き出された幸せそうな声に心臓がどきりと跳ねる。
リップサービスとはとても思えない、柔らかな音の響き。
夜の煌めきの中にいる男の素に触れてしまったような気がして落ち着かなくなる。
たとえそれが体の付き合いについてでも。
これがNo. 1様の手管か、と顔を覆った。
傑が不審に思って顔を覗き込んで、そのままキスされる。
やわらかい唇があまく感じて、脳みそがゆるゆるになっているのを実感する。
あんな適当に付き合い始めたのに、こんなに幸せでいいのだろうか。
俺の腰に手を回しながら「またしよーね」なんて追い討ちをかけられて、思わず自分から唇を奪った。
眠りにつく頃には、部屋の中は電気なしでも十分明るくなっていた。
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