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第44話

「創さん。俺も…俺もあの日に、創さんに恋をしました!」 強く抱き締めて叫ぶと、創さんは目に涙を浮かべて 「なんだ。最初から、両想いだったのか」 そう言って微笑んだ。 「もう…離れたいって言っても、絶対に離しませんからね!」 抱き締めて叫ぶ俺に、創さんは幸せそうな笑顔を浮かべて 「はじめ、それは僕の方こそだよ」 って答えた。 俺達は顔を見合わせて笑うと、どちらからともなく唇を重ねた。 俺は何を見ていたんだろう? こんなにも、俺に愛情を示してくれていた人を、ずっと信じられなかったなんて……。 ゆっくりと唇が離れ、額をコツンと当てて微笑み合う。 「はじめ、選んでくれてありがとう」 「それはこっちの台詞ですよ!」 再び抱き締めた俺に、創さんの手がゆっくりと回される。 「人の体温が安心するって、はじめに教えて貰ったよ」 ポツリと呟く創さんに 「俺もです」 そう言って。そっと髪の毛を撫でた。 「はじめ。この先に何があっても、僕の手を離さないでくれよ」 幸せそうに俺の胸に顔を埋める創さんに、愛しさが込み上げて来る。 今、この腕の中にある温もりを、一生手放さいと固く決意をした。 この後1年掛けて、創さんは高杉創から熊谷創へと籍を移した。

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