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とある日の黒沢俊一。 15

黒沢は自室に戻ってから考えていた。 瀬名のことだ。 瀬名とは大学からの付き合いだが、正直意外だった。 高橋を気に入るとは。 あいつ、ああいうのがタイプだったか? 以前はこう、綺麗めなとか男前なのが好みだったはずだ。 高橋も整った顔をしているが どちらかといえば可愛らしいというか、犬っぽいというか。 まぁ、年月が経てば好みも変わるか。 黒沢がそんなことを考えるのも 以前、瀬名とそういった関係だったからである。 正確には付き合ってはいなかったが 身体の関係はあった。 特定の相手を作らずフラフラと遊んでいた時期だ。 ある時は友人であり、またある時は恋人になった。 瀬名はゲイであったし黒沢はバイ。 お互いが好みだったこともあり割り切った付き合いができ、気楽だった。

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