58 / 106
とある日の黒沢俊一。 15
黒沢は自室に戻ってから考えていた。
瀬名のことだ。
瀬名とは大学からの付き合いだが、正直意外だった。
高橋を気に入るとは。
あいつ、ああいうのがタイプだったか?
以前はこう、綺麗めなとか男前なのが好みだったはずだ。
高橋も整った顔をしているが
どちらかといえば可愛らしいというか、犬っぽいというか。
まぁ、年月が経てば好みも変わるか。
黒沢がそんなことを考えるのも
以前、瀬名とそういった関係だったからである。
正確には付き合ってはいなかったが
身体の関係はあった。
特定の相手を作らずフラフラと遊んでいた時期だ。
ある時は友人であり、またある時は恋人になった。
瀬名はゲイであったし黒沢はバイ。
お互いが好みだったこともあり割り切った付き合いができ、気楽だった。
ともだちにシェアしよう!