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第1話

(らい)起きてよ。雷ってば!」 俺を起こす(ふう)の声が聞こえる。 「風、どうした?」 薄目を開けると、まだ夜中なのがわかる。 「外から変な声が聞こえてくるんだ。なあ、聞こえるだろ?」 言われて耳を澄ます。 確かに、風の音に混ざって子供の声のような動物の鳴き声のようなものが聞こえる。 「何だ、あれ?」 「分からないけれど、外に何かがいるのは確かだし、この寒空の中じゃ死んじゃうよ。」 確かに、この辺りの夜は寒い。特に今夜は風もかなり吹いていて、外に小さな生き物がいたならば、明朝には命はないだろう。 「見に行って来る。」 「だったら僕も!」 そう言って、俺と同じように上着を羽織ってついてこようとする風を手で制した。 「風は本当に何かがいた時の為に、部屋と飲み物を温めておいてくれ。」 はっとした顔で頷くと「分かった」と言って、リビングに駆け出して行った。 俺は反対方向にある玄関に向かいゆっくりと扉を開ける。 外に出るとその声が空耳などではなく、現実のものだと分かった。 その声の方に歩いていくと、村と森の境の辺りに小さな箱が置かれていた。 「マジかよ…」 急いで駆け寄ると、中を覗き込む。 「これは…!」 考える暇はなかった。 小さな命の入った箱を持ち上げると、急いで森の中に戻った。

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