柳瀬　良（やなせ　りょう） 高校２年生。 男子御三家の名門校として 知られている西園寺高校の 生徒会長である。 「……… では、約束どおり 罰ゲームは、 　柳瀬会長を口説き落とすこと　でよろしいですか？」 そして 今しがた 自分を標的にした罰ゲームの内容を 偶然にも廊下で立ち聞きしてしまった。 『………どうしよう、俺、とんでもない、タイミングで、きてしまった～～！！』 良は、その場に立ち尽くし頭を抱えて、動揺が隠せない中、 生徒会室の分厚い扉にそっと聞き耳を立てた。 「ゲームの期限は、1ヵ月以内です。 見事、柳瀬会長を口説き落とせたあかつきには、その場で種明かしをして罰ゲームは終了です。よろしいですか」 会計の玉城が皆に告げる。 「問題ない。励んでみよう」 奥の方から、副会長の七条　晄（しちじょう　あきら）の低音で心地の良い声が聞こえてきた。 どうやら、罰ゲームは、 七条に決まったらしい。 「さすが、七条様」 「でも、意外です。七条様が こういったゲームに参加してくださるなんて」 庶務や書記の者達が、弾む声で話し出す。 「個人的に興味深い話題だったんでね」 「楽しみだな～」 自分抜きにワッと賑わう生徒会室から、 良は、そっと踵を返した。