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第2話

―――――――――― ―――――― 「はぁ~~~~」 良は、生徒会長専用の椅子に座り、 来月に迫る生徒総会用の書類を見つめながら、 深い溜息を吐いた。 「柳瀬、どうした? 顔色が優れないな。気分でも悪いのか」 良の様子を見て、 すかさず七条が声をかける。 「!! ……あぁ、何でもない。 すまない」 いつのまにか自分の口から溜息が漏れていたのに気づき、良は必死に澄ました顔を作り微笑み返した。 結局、あの悪魔のような会話を聞いたショックで 良は、生徒会室へそのまま入る心境にはなれず、しばらく中庭で気持ちを落ち着かせてから、素知らぬ顔でやり過ごしていた。 『お前らのくだらない罰ゲームとやらのせいだ!』とは、 さすがに全員集合しているこの状況下で言う気にはなれなかった。 だが、 しっかし 自分が嫌われていることを 身にしみて感じるよなぁ~~、、、。 はあぁ、、、。 良は、内心すぐにでも自室のベッドに閉じこもりたい気分だった。 自分がこの学校に馴染めていないことは 良も重々自覚していた。 良はつい3ヵ月前に、 海外からこの高校に転入してきたばかりなのだ。 日本を代表する財閥の三男として生まれた良は、 高身長で男前な兄二人と比べ、 平均並の身長と母親似の白皙で中性的な容姿から、昔から女子に見間違われることも多々あった。 また、競いごとを嫌い平和主義で臆病な性格ゆえ、家族の中でも一際可愛がられる存在であり、 もちろん後継者に名が上がることもなかった。 中学からは海外のスクールへ入学すると、 田舎な環境でのびのびと楽しく過ごしていた。 ところが!! 半年前に次男は父親とそりが合わず、 突然家を出て行ってしまい、 その直後に長男も交通事故に遇い、 長期入院中のため、 良は急遽帰国する事態となったのだ。 入学したこの西園寺高校では、 柳瀬家の人間は代々生徒会長を務めるという 謎のしきたりを学園長に言い渡され、転入早々半ば強引に生徒会長を担う羽目となった。 そのため、 突然現れた自分が学校の代表になることに当然好ましく思わない人間がいることも良は感じていた。 それでも 七条だけは… 七条だけは、唯一の友達だって 思ってたのにさ… 良は、ちらりと七条を窺う。 鍛えられた身体に長身で整った顔。 寡黙で堂々とした風格は、 自分より何倍も生徒会長にふさわしい男だった。

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