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第7話
「ただいま!」
玄関を開け
大喜びで出迎えるトイプードルの愛犬ティアラを撫でていると、部屋の奥から珍しい人物の声がした。
「良、おかえり!」
見ると入院しているはずの兄が視界に飛び込んできた。
「新(アラタ)兄さん!!!」
突然のことに良は驚いた声を出す。
「病院はもういいの!??」
「お陰様で車椅子だけど今日無事退院できたよ」
右足にギプスをつけ、ぎごちなく車椅子を握り、新は穏やかに笑った。
「そっか。本当に良かった!」
良も安堵の声を漏らした。
「これから父さんと仕事の件で打ち合わせがあって帰ってきたんだ」
新は良より6歳上で、すでに実家を出て父の会社で働いている。
「そっか」
「良…」
「うん?」
「俺のせいで日本に引き戻すことにまでなって、本当にすまなかった」
新は真剣な面持ちで深々と良へ頭を下げた。
「そ、そんなことないよ!!
今まで家のこと全部兄さん達に任せきりだったし、俺にできることがあれば何でもするから」
良は満面の笑顔でそう答えた。
「ありがとう。
良の学校生活は上手くいっているか?」
「えっ、…まずまず、かな、」
良は、今日のことを思い出し、ハハハと苦笑いを浮かべ俯きがちに述べる。
「まさか、虐められてないだろうな?
俺の可愛い弟を…」
その様子を見た新は眉間に皺を寄せて尋ねた。
「それはないよ!
みんなすごく親切にしてくれる。
変な気を遣われ過ぎているくらいだし」
「じゃあ何かあったのか?」
「あー……
実は、学校で一番親しい同級生に本当は嫌われてるかもしれなくて、」
「そいつに嫌いだって言われたのか?」
「そうじゃないけど、、」
さすがに罰ゲームの話を兄には言えず、良は誤魔化しつつ話した。
「じゃあ思い切って良の胸の内を本人にぶつけてみたらどうだ」
「そんなことしたら喧嘩になるかも」
「それもいいさ。大人になると本音で誰かと気持ちをぶつけ合う経験が、貴重なことだって思うよ」
「そうなんだ…」
「お互い誤解があるかもしれないし、勇気出して伝えてみたら」
「うん。
新兄、ありがとう」
良はそう微笑んだ。
その夜、良は新のアドバイスが響き
七条に罰ゲームの真意を聞いてみようと胸に近い就寝した。
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