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第28話
***
今日は日曜日。
いつもなら海堂さんは家にいる
……はずなのに。
「なんでいないの…?!」
「ま、まぁまぁ紫音!落ち着いて」
家にいてもすることのない俺は、優に連絡してよく2人で勉強していたカフェに来ていた。
「俺やっぱ嫌われてるの?!」
「いやそんなこと……」
「ていうか佐倉に聞いてくれた?!!」
「あー………」
優が言いにくそうに口籠る。
「なんか、海堂さん最近20時には仕事終わってるらしくて…」
「はぁ?!どういうこと?!!」
「言いにくいんだけど…さ…、新人のΩの子と部屋に入ったり、前は女の人と街歩いてたって…」
「はぁああああぁ?!!!!」
「…………………」
「俺完全に脈ナシじゃん…………」
罪悪感からか無言になる優と、
真実を知ってしまって項垂れる俺。
逆にこれで項垂れない奴がいたら呼んでほしい。
「店に戻ったら振り向いてもらえるかな…」
「な、何言ってんの!!また知らないおっさんに体触らせる気?!」
「だって、俺は抱いてくれないのに、新人の子は抱いてるんでしょ………?」
「抱いてるかわかんないじゃん!!」
「逆に風俗店で2人で部屋入ってヤる以外なにがあるんだよ!!」
「「………………………………」」
もう優もフォローしきれなくなって、俺は悔しいのか悲しいのか、ポロポロと涙が溢れた。
大体俺が何したっていうんだ。
避けられたのは海堂さんが出張から帰って来た日だろ?
あの日はどっちかというと俺がナニされた方だわ!!
平日だけじゃなく、休日まで誰かに時間を費やしてるのかと思うと、胸がざわざわして気が気でいられなかった。
***
「ただいま」
──19:00
さすがに休日だしそんな夜遅くまで会う予定はなかったのか、帰ってきたという事実が俺を少し安心させた。
「買ってきたから食べようか」
「……手伝う」
俺が食器を用意して、海堂さんが買ってきたからオードブルなどをさらに綺麗に盛り付ける。
「「いただきます」」
ワインを片手に他愛ない話をしていたが、俺は気になっていたことを聞きたくて、フゥッと息を吐いた。
「海堂さん」
「なに?」
「今日……、何してたんですか?」
「今日は仕事だ。」
「じゃ…、じゃあ平日は?最近帰り遅いのも?」
「あぁ。最近仕事が溜まっててな、悪い」
えーーーー?!
めっちゃ堂々と嘘つくじゃん!!
ていうか、やっぱ俺に言えないこと…?
疚 しいことなのかな……。
でもでもでも、疾しいも何も、別に俺たち付き合ってないし!!
俺の勝手な片思いで、海堂さんを縛る理由なんかないし………。
「俺、風呂入ってくるね……」
自分で聞いたのに心が折れて、俺は食卓から逃げた。
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