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第1話 肉人形

作っていた人形が人間になった。 美しい美しい青年に。 樹脂で作っていた身体は白さはそのままに、柔らかな肉に。 絹糸の髪は艶はそのままに、人毛に。 硝子の瞳は輝きはそのまま泪で潤んで。 作りながら愛してた。 だから抱いた。 理想のそのままだったから。 目覚めて息をした、そのときから欲しくてたまらなくなった。 赤い唇を塞いで舌を入れたなら、甘い唾液の味がして。 貪ると喘ぐ息とふるえる身体がたまらなかった。 噛じる乳首の味も食感も。 あげる声の切なさも。 初めに聞いた声は、乳首を吸われ、噛まれて身を捩らせて鳴く声だった。 へそ。 性器。 穴。 欲望のままに作り上げたそこを舌や指で味わった。 理想通りの美しいそれらは、生気を帯びて淫らで。 性器からは甘い汁さえ滴らせていた。 味わった。 穴の内部さえ、舌を差し込んで。 人形はその柔らかな身体をくねらせ、感じて甘く鳴く。 もちろん、その穴に自分の性器も挿れた。 初めは痛がるとことさえ、いとしくて。 でも。 その日の内に人形は穴だけで達することを覚えたのだった。 人形は理想以上に甘くて。理想以上に淫らだった。溺れ続けた。 人形は抱かれることによって生きているとわかる。 足りないと言われ、求められ、死ぬ寸前まで追い詰められる。 仕方ない。 なかった。 仕方なかった。 自分以外の男をあてがった。 街で男を誘って屋敷につれこみ、人形の前に差し出した。 男は美しい人形に喜んで襲いかかった。 人形を貪る。 その柔らかい唇を貪り、尖って色付く乳首を齧り、甘い汁を滴らす性器をしゃぶり、その穴を思いのままに貫いた。 人形の主人はくるしむ。 愛しい人形を、自分の人形を。 でも。 人形はあまりにも美しく乱れていて、その姿から目が離せない。 背後から男に貫かれる度に反り返る背中。 指を入れられたなら、いやらしくしゃぶる舌や唇。 男に性器を咥えさせられたなら、男の尻まで抱えてのど奥まで欲しがる。 奥まで犯して、とねだる声の甘さ。 犯す男が悲鳴のように声を上げるのは絞られ締めつけられるから。 主人は他人に抱かれる人形に欲情する。 せずにはいられない。 やがて人形を抱く男が悲鳴を上げ始める。 セックスが終わらない。 人形が満足するまで終わらない。 男は血を吐いた。 それでも男の尻は動く。 止められないのだ。 ゆるしてくれ。 たすけてくれ。 それは悲鳴。 でも。 人形が止まることはなかった。 見つめる主人の目の前で。 人形はあたえた男を喰らいつくした。 そして、殺した男を押しのけて。 主人が人形にのしかかる。 これで、やっと人形は殺さないで抱かれてくれた。 他人に抱かれた身体を抱くのは辛かった。 理想の恋人だったから。 でも、その身体は甘い。 甘すぎる また誰かを与えて。 それから抱く。 誰かを殺す程に求めたその身体を思えば苦いはずなのに。 あまい。 離せない程甘い。

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