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 見上げれば、真城はディガーが作り出した漆黒の輪からいつの間にか抜け出し、どこから取ってきたのか、金色に輝く剣を持っていた。  ディガーと互角に渡り合っている。  剣は互いに何度もぶつかり合い、その度に、鋭い金属音がする。 「なっ! 魔力? 剣を生成したのか! お前、記憶が戻ったのか?」 「だったらどうする?」 「……チッ。今は逃げるとしよう。また来るよ、今度こそは君を奪いに、ね。待っていて、俺の可愛い椿姫」  そう言うと、ディガーは姿を消した。  後に残されたオレは、もう為す術なく、床の上で乱れ、足掻く。 「七瀬! 大丈夫?」 「っ、ああっ、ローター抜いて、ああっ!!」  震える身体を真城に擦り寄せ、お願いすると、真城はローターを抜き取ってくれた。 「七瀬!」  ローターは真城が抜いてくれた。だからもうオレを戒めるものは何もない――ハズなのに。

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