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第2話
「中山さん、内線1番に、松下様からです」
女性社員から昨夜、ツイートで取り上げていた、菓子を扱う、松下さんからの電話だった。
ボタンを押し、受話器を上げ、耳元に当てる。
「いつもお世話になっております!きらめきの中山です」
「こちらこそ、お世話になってます!昨日は我が社の商品を取り上げてくださり、ありがとうございました!」
ハキハキとした明るい、女性社員の声。
「いえいえ、とんでもないです」
「我が社の商品を送らせて頂きましたので、休み時間などにどうぞ、皆様で召し上がられてください」
「いや、そんなお構いなく」
「もう既にお送り致しましたから、感想なども頂ければと思いまして」
「ああ、なるほど、そういう...了解です!あ、ところで」
「はい?」
「中の人、はお電話口のあなた、なのでしょうか」
「はい、左様でございます」
「女性の方だったんですね...あ、すみません」
「いえ、文章だけではわかりませんもんね、中の人、て。私もたまにやり取りしながら、この方は実際はどんな人なんだろう、と思うときありますよ」
松下さんの会社で働く女性が笑う。
「あ、ところで」
「はい」
「株式会社レボリューションの方と面識はないですか?」
「レボリューション様...ですか?確か...」
そこまで話し、女性社員は咳をした。
「女性のあの...商品を扱う、企業様ですよね?なにかトラブルでも?」
「え、あ、いえ。中の人と面識があるのか、ただそれを尋ねたかったもので」
「あー、無いですね」
「そうですか...」
「では、これからもよろしくお願い致します!」
「はい!ご丁寧にありがとうございました!お疲れ様です!」
「お疲れ様です!」
そうして、松下さんのところの女性社員が受話器を置くのを待ち、電話を切った。
「...さすがに菓子を扱う企業と生理用品だもんなあ...いくら女性社員同士だから、て、まあ、無いか」
そうして、俺はたまに宣伝を兼ねたツイートを挟みながら、書類に視線を落とし、画面をエクセルに切り替え、仕事を進めた。
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