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第8話
「何処に行くの?」
お引越しと言われたが、詳細を聞いていない白亜。不安になる。
少しは会話にも慣れたが、やはりマーメイは伝えるのが苦手な様で、よく主語を忘れる。
「この前言った友人にね、ハクの家を建てて貰ったんだ。出来たんだって」
「えっ、待って……」
陸に知り合いが居るのか、人魚なのに……
そう言えば聞いたような気もするが、あの時はそれどころでは無かった白亜、どうやら聞き流してしまったようである。
「綺麗な孤島があるんだ。私の秘密の場所だから大丈夫だよ?」
何が大丈夫なのか良く解らないが、マーメイが大丈夫だと言うなら大丈夫な気もするが、今、白亜が心配しているのはそんな事では無く、マーメイの陸の知人がどんな人物かと言うことだ。
人魚と知り合いだと言うのだから相手も龍とか、そんな感じかも知れないが、万が一でも人間ならは自分が白の王国の王だとバレてしまう。
死んだんだ筈の自分が生きているとバレては困るのだ。
青の国は魔法も使えるし、人魚日記も書いていた気がする。
眉唾物だと思われているが……
「あ、誰かに会うのが怖い?」
そう言えば、ハクは生贄として海に落とされたのだと言っていた。
人間恐怖症になってしまってもおかしくは無いだろう。
でもあの人、人間と言って良いのかな?
人間と魔物の間の人だけど、人として間違いでは無いのか……
お嫁さんは人間だし。
「顔は怖いかもだけど、怖い人じゃないんだよ。でも、ベールを被せてあげるね」
気休めにしかならないだろうが。
「有難う」
白亜はホッとし表情を見せる。
顔が見えなければバレる心配は無いだろう。
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