14 / 36

第14話

 今日は黒柳の5歳の誕生日である。漆黒も来てくれるだろう。  最近は割と頻繁に来てくれるようになった。番になったからか、合うたびにキスすれば元気になるから大丈夫と言っている。  黒柳も漆黒が来てくれると嬉しそうなので、強くは言えないが、王がそうそう国を空けるのは良くない。   来てくれるのは嬉しいがお泊りさせるのは3ヶ月に一回ぐらいにしている。  今日は黒柳の誕生日であるし、泊まって行くだろう。  裏柳は内心ルンルン気分で町に来ていた。  バレない用にフードで顔を隠し、さっさと欲しい物を買う。  必需品は漆黒が用意してくれるし、消耗品も用意してくれるから、別に町に来なくても良いのだが、たまには白の国の特産物で郷土料理を作りたくなるのだ。  愛国心はある。  それにしても何かおかしいな……  いつもより活気が無く、国民も元気が無い様子。  極めつけに物価の高騰が異常だ。2倍以上である。 「何かあったんですか?」  たまらず店のおばさんに話しかける裏柳。 「知らないのかい? 白亜様が事故で崩御されてね。弟君が王位についた様だけど酷い暴君だ。税金は跳ね上がるばかりで、家もやっていけないよ。明日食べる米も無いぐらいさ」  そうため息吐くおばさんに裏柳は頭が真っ白になった。  白亜が崩御した?  亡くなったと言う事だ。  そんな……  裏柳は信じられなかった。何故そんな事になったのか。  事故とはなんだ。 「荒れた海で船から落ちて遺体も上がらないなんて、きっと弟君がやったのさ。そう皆思ってるよ」  そう、小声で言うおばさん。  弟君と言えば、白亜が目に入れても痛く無い程溺愛して可愛がっていた。  あの子は確かに白亜を嫌っている様子だった。  俺が着いていれば……  裏柳はそんな風に自分を責めてしまう。  白亜……

ともだちにシェアしよう!