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第14話
今日は黒柳の5歳の誕生日である。漆黒も来てくれるだろう。
最近は割と頻繁に来てくれるようになった。番になったからか、合うたびにキスすれば元気になるから大丈夫と言っている。
黒柳も漆黒が来てくれると嬉しそうなので、強くは言えないが、王がそうそう国を空けるのは良くない。
来てくれるのは嬉しいがお泊りさせるのは3ヶ月に一回ぐらいにしている。
今日は黒柳の誕生日であるし、泊まって行くだろう。
裏柳は内心ルンルン気分で町に来ていた。
バレない用にフードで顔を隠し、さっさと欲しい物を買う。
必需品は漆黒が用意してくれるし、消耗品も用意してくれるから、別に町に来なくても良いのだが、たまには白の国の特産物で郷土料理を作りたくなるのだ。
愛国心はある。
それにしても何かおかしいな……
いつもより活気が無く、国民も元気が無い様子。
極めつけに物価の高騰が異常だ。2倍以上である。
「何かあったんですか?」
たまらず店のおばさんに話しかける裏柳。
「知らないのかい? 白亜様が事故で崩御されてね。弟君が王位についた様だけど酷い暴君だ。税金は跳ね上がるばかりで、家もやっていけないよ。明日食べる米も無いぐらいさ」
そうため息吐くおばさんに裏柳は頭が真っ白になった。
白亜が崩御した?
亡くなったと言う事だ。
そんな……
裏柳は信じられなかった。何故そんな事になったのか。
事故とはなんだ。
「荒れた海で船から落ちて遺体も上がらないなんて、きっと弟君がやったのさ。そう皆思ってるよ」
そう、小声で言うおばさん。
弟君と言えば、白亜が目に入れても痛く無い程溺愛して可愛がっていた。
あの子は確かに白亜を嫌っている様子だった。
俺が着いていれば……
裏柳はそんな風に自分を責めてしまう。
白亜……
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