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第32話

 心配していた白亜の元に朽葉から手紙が届いた。 『白亜様、僕は今、優しい裏柳様と黒柳様と暮らしています。たまにお見えになる漆黒様もとても優しくしてくれています。僕の事は心配なさらないでください。白亜様のお力で、白の国も活気を取り戻していると聞きました。どうかお体に気をつけて頑張って下さい』  白亜は内容が上手く飲み込めない。  どう言う事だ?  裏柳? 裏柳とは? 裏柳??  僕の幼馴染みで、婚約までして一夜を共にするベッドで僕を突き飛ばして逃げた上、神隠しに会ったあの?  帰ってきたら身重で、また直ぐに行方をくらましたあの裏柳か??  裏柳は、あのいけ好かない漆黒とか言う男と夫婦になり、黒柳というまぁ、解りやすい名前の子供と暮らしていると?  いや、生きて幸せに暮しているなら嬉しい事なのだが、複雑である。  しかも朽葉からの手紙はまるで、『僕は漆黒様と裏柳様の家の子になります。迎えに来ないで下さい。さよなら』みたいに読める。  漆黒とか言う謎の男に裏柳だけではなく、朽葉まで奪われた気分だ。腹が立つ。  許せない!!  朽葉の手紙を運んで来たのは伝書鳩である。  まだ、窓際で羽を休めていた。  もしかしたら返事を待っているのかも知れない。  白亜は『直ぐに迎えに行くから!』とだけ書いた手紙を伝書鳩に持たせた。  伝書鳩は華麗に空を舞う。  白亜は自分の伝書鳩に跡を追わせ、行き先を追跡するのであった。

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