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第36話

 夢現だと思った白亜であったが、一日置きに朽葉と裏柳からも手紙が届くようになった。一日置きに此方も送っているので、交換日記の様なものになっている。  此方は今どの様な政策に取り掛かっているとか、害虫駆除を手伝ったとか、取引相手のハゲオヤジが下品で気持ち悪かったとかそんな話しを書き、裏柳は良く解っているので、的確なアドバイスとか、ハゲオヤジのそれはセクハラだからハッキリ言い返せとか、そんな話で、朽葉からは裏柳と漆黒の息子であると言う黒柳とどんな話したとか、楽しく遊んだとか、黒柳がいかにカッコよくて素敵だとか頼りになるとかそんな話であった。  裏柳の助言は助かるし、頼りになるのだが、朽葉からの手紙は気になりすぎる。いや、朽葉は普通に頼りにのるし助かる素敵な友人が出来て嬉しいと言う無垢な反応なのだが、黒柳が『朽葉の髪は秋の落ち葉の様で見ていて落ち着く』とか『瞳が綺麗だ』とか『可愛い』だとか言ってくれるそうだが、どう聞いてもそれは口説いてるのではないか? と、なるのである。無邪気な5歳の子供の言葉だとは聞き流せない。  大丈夫なのだろうか。  朽葉は確かに知的で可愛いが、βだ。いや、まだβだとかそう問題でもなく、子供に恋愛はまだ早い!!  相手がαだとしてもまだ5歳ではラットする事も無いだろうし、大丈夫だとは思うのだがだ……  白亜は心配でソワソワしてしまう。  どうしても心配で裏柳への手紙に書いてみたが、『考え過ぎです』で終わらせられてしまった。  本当に僕の考え過ぎなのだろうか。

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