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ファストフード店に居座っていた時間は余裕で3時間を越え、
「そんじゃ米倉。また募る話はLINEするから」
「うん」
「それから例のお勧めの携帯サイトのURLも送ってくれよな」
「あはは。了解」
水上と別れた時にはすっかり夜になっていた。
「またな!」
俺の中でこれまでとはすっかり印象が違ってしまったイケメンはそう言いながらニカッと笑うと、こちらに向かって大きく手を振り、くるりと踵を返してバス停の方へと消えていく。そんな水上の姿が見えなくなるまで見送ってから、俺もようやく帰路についた。
改めて考えてみると、イケメン水上は結木さんに似ているところがあるのかもしれない。腐女子と腐男子の違いはあれど、水上も結木さんと同じように見た目と萌え語る時のギャップが半端ない。
結木さんよりは声を潜めてはいたけど、周りの目を気にせずに唾やらケチャップやらを飛ばしながら熱弁を奮っていたし。
今までは壱人と同じスタンスにいるイケメンというイメージしかなかったけど、水上はいい意味でそのイメージを打ち破ってはくれた。ただ、だからと言って学校での俺たちの関係が変わるかというと、お互い壱人には秘密にしていくということで変わることはないんだけどさ。
「なんか、浮気してる気分になるな……」
二人だけの秘密って。しかも、壱人には絶対内緒の。
これって確かに浮気にも言えることで、もし万が一にでも壱人に二人で親密にしているのがばれたら浮気してると思われても仕方がない。誤解を解くには俺たちが腐男子で同じ趣味を共有しているとカムアウトするしかなくて、だからなんとしてでもこの秘密は死守したかった。
家に帰り着いたのは、門限を少し過ぎてしまった夜の9時過ぎ。
「ただいまー」
遅くなることは一応、母さんにLINEしてあったけど、
「お帰りなさい。思ったより遅かったのね」
どうやら余計な心配をかけてしまったみたいだ。
「そう言えば壱人くんに連絡した?」
「え、壱人? なんで?」
「泉から連絡がないって心配してたわよ。泉の部屋で待ってるから……」
ちゃんと謝っときなさいよと言う母さんの声を背後に聞きながら、俺は階段を一気に駆け上がって部屋へと急いだ。
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