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第5話

組織を去るのも楽ではなかった。 なんせ患部にまで上り詰めてしまった俺は 顔が完全に知れている。 だが、長年積んだ知識と経験が佐野を日本へと無事帰国させたのだ。 「3年間ご苦労だった。長期休暇をやりたいところだが、すまない。1週間で次の仕事にあたってもらう」 「はぁ…別にそれはいいですけど、その前に何故急に帰国させたか教えてもらえます?」 3年間も潜入してきた場所を何の準備もなく飛び出してきたのだ。理由が気になって当然だし、そもそも納得のいくものでなければ、ならない。 あんなに頑張ってきたのに、何故今なんだ… 「簡単に言うと中国政府とお前がいた組織は繋がっていたんだ。あの組織にこれ以上いれば、お前だけではなく日本全体が危険に晒されていたかもしれないと言う事だ。だからお前を下がらせた。これは、一部の人間しか知らない。極秘で頼む」 政府とマフィアは繋がっている? グルということか。 ならば今まで何故政府にしかわからないようなことも、あいつらは知っていたのか…納得がいく。てっきりハッキングでの情報かと思っていたのだが…。 「この話は終わりだ、正直私も話せることが少ない。とりあえず、1週間後お前には九重組に潜入してもらう。これは資料だ、目を通しておけ」 かなりのA4サイズにプリントされた情報を渡される。果たして1週間まともに休めるのか… 佐野は顔が引き攣りそうになるのを抑える。 「わかりました。では失礼します」 部屋を後にした佐野は自分の家に 三年ぶりに帰宅し、あまりに我が家が落ちつくものだから、その日は爆睡してしまった。

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