6 / 7

第6話

目を覚ました時、自分がスーツのまま 寝ていたことに気づく。 「は…?ありえない…最悪だ、しわになってる」 クリーニングに出さなきゃならないのか。 資料も読まなくちゃいけないってのに… はぁ…と深いため息をついた佐野は、 もうお昼近くまでなっていたのを見て、朝ごはんは食べないまま、スーツを持ちクリーニングへと駆け込んだ。 「これ明日までにクリーニングできますか?」 「ええ、明日の夕方頃にはできると思います」 「それじゃ、それでお願いします」 良かった、すぐに終わるみたいだ。 お昼は何を食べようか。 お金も少しあるし、ラーメンでも久々に食べに行きたいな。 クリーニングからだいぶ離れた場所に 一軒のラーメン屋を見つけ入ろうとした時だった。 「ごめんなさいっ!うちの子がっ…クリーニング代をお支払いします」 「ああ!?翡翠さんにぶつかっておいて、クリーニング代出すだァ!?そんなちゃっちぃ服なんざ着てねぇんだよ!弁償だ!弁償!」 翡翠?いや、まさかな… 日本に帰ってきたと思ったら、いきなりあいつの名前を聞くなんてな… 同姓同名にしたって縁は切るに切れないんだな。 それよりも親子と柄の悪い連中が揉めている。どこ行ってもこういう事は起きるのか… 「はぁ…見捨てちゃ警察の恥だ。ラーメンも不味くなる」 せっかくの休日だというのに なぜ俺は、こうも悪運が強いのか… たまにはゆっくり休ませて欲しいもんだ。

ともだちにシェアしよう!