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第6話
目を覚ました時、自分がスーツのまま
寝ていたことに気づく。
「は…?ありえない…最悪だ、しわになってる」
クリーニングに出さなきゃならないのか。
資料も読まなくちゃいけないってのに…
はぁ…と深いため息をついた佐野は、
もうお昼近くまでなっていたのを見て、朝ごはんは食べないまま、スーツを持ちクリーニングへと駆け込んだ。
「これ明日までにクリーニングできますか?」
「ええ、明日の夕方頃にはできると思います」
「それじゃ、それでお願いします」
良かった、すぐに終わるみたいだ。
お昼は何を食べようか。
お金も少しあるし、ラーメンでも久々に食べに行きたいな。
クリーニングからだいぶ離れた場所に
一軒のラーメン屋を見つけ入ろうとした時だった。
「ごめんなさいっ!うちの子がっ…クリーニング代をお支払いします」
「ああ!?翡翠さんにぶつかっておいて、クリーニング代出すだァ!?そんなちゃっちぃ服なんざ着てねぇんだよ!弁償だ!弁償!」
翡翠?いや、まさかな…
日本に帰ってきたと思ったら、いきなりあいつの名前を聞くなんてな…
同姓同名にしたって縁は切るに切れないんだな。
それよりも親子と柄の悪い連中が揉めている。どこ行ってもこういう事は起きるのか…
「はぁ…見捨てちゃ警察の恥だ。ラーメンも不味くなる」
せっかくの休日だというのに
なぜ俺は、こうも悪運が強いのか…
たまにはゆっくり休ませて欲しいもんだ。
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