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(後編)

そこには、ボクのものとは比べ物にならないくらい大きな物が上を向いて立っていた。 「それ……ラディーのおちんちんなの?」 「ええ、そうですよ」 「ボクのとぜんぜん違う……」 「君は精通もまだですからね」 「せーつう?」 「……君はずっと子供のままでいいんですよ」 ラディーがそう言うので、ボクは質問をやめた。 本当は、ラディーがどうして服を脱いだのか知りたかったけど、なんだか聞くのが怖くなってしまった。 ラディーがボクにすることなら、なんでも我慢しよう。 初めはそう思っていたけれど、体を合成されたのは本当に、痛くて痛くて、我慢できなくて何日も泣き叫んでしまった。 また同じような事をされるのかと思うと、ボクは怖くてたまらなくなってしまう。 ボクがここから、もし逃げようとしたら、ラディーはどうするんだろう。 ボクはこの部屋から出されたことがないし、きっとそんなことはできないんだろうけど。 ラディーは怒るんだろうか、それとも、悲しむんだろうか……。 考え込むボクの顎を、ラディーがクイッと引き上げた。 そのまま、片手で顎を固定された僕の口の中に、ラディーが指を入れてくる。 「んっ、ぅ…………ん……っ」 一、二、三本と指を口いっぱいに入れられて、驚きは言葉にできずに声だけが溢れた。 「そうですね……、口での奉仕も覚えてもらわなければいけませんが、今日は初めてですから、また次の時にしましょうね」 ラディーが楽しそうに微笑んで、乾いた薄い唇を湿らせるようにぺろりと舐める。 まるで、美味しそうな食べ物を前にしているような仕草に、なんだかラディーにはボクのことが美味しそうに見えてるんじゃないかと一瞬思ってしまう。 「ぅむ……んん」 口の中にぎゅうぎゅうにねじ込まれたラディーの指がぐりぐり動く。 ボクは涎を溢してしまわないようにするので、精一杯だった。 ずるりと指が抜かれて、ホッとした途端、ボクの涎でべちょべちょのままのラディーの指は、ぬるりとした感触で僕のお尻の穴を撫でた。 「ひゃぁっ」 驚きと困惑を浮かべてラディーを見上げたボクを、紫色の瞳が艶やかに見下ろしている。 ラディーはとても、楽しそうな顔をしていた。 「ふふふ。今から何をされるのか、全くわからないという顔ですね」 「う……うん…………。その……痛い……事……するの……?」 気づけばボクの口は勝手に質問していた。 自分の声が震えていて、やっと自分がさっきから小さく震えていたことに気付く。 「ええ、やっぱり初めては多少痛くないと、ですね」 「っ……」 息を詰めるボクの頬に、ラディーはそっと唇を付ける。 後になって、これはキスと言うのだと教えてもらった。 「心配いりませんよ、すぐに気持ち良くなりますからね」 「すぐにってーー……っっんんんっ!」 ずぶりと、音が聞こえた気がした。 ラディーの指が……ボクのお尻に入って……る……!? 「ぅ、あぁぁああっ、い、やだ、ラディーっっ、や、ぁ、あああああっ!」 痛みと異物感に体が反射的に逃げ出そうとする。 でも、ラディーの手はボクの脚をがっしり掴んでいて、そのまま二本目を突き立てられる。 「あぁっ、やだ、やだよぅ、抜いて、指、入れないっぅぁああぁぁっっ」 嫌がるボクに、ラディーは楽しそうな顔のまま三本目をねじ込んだ。 びりっと何かが裂ける感覚。お尻の中と外に熱い感覚が走って、その後を、ズキズキとした痛みが襲う。 「ぅぅ……お尻……、壊れちゃった、よ……」 涙でべしょべしょになって、ボクが呟くと、ラディーは 「壊すのは、これからですよ?」 と笑った。 痛みと恐怖に体中の力が入る。 「そんなに力を入れていると、余計痛いですよ」 言いながら、ラディーが指をずるりと抜く……と思った途端、また三本の指がボクの中を深くえぐった。 「あぁあぁぁぁぁああああっっ!!」 痛くて、我慢できない。 そんなボクに、ラディーは何度も何度も指を束ねたまま出したり入れたりする。 何度叫んだか分からないけれど、お尻の中がだんだんジンジンしてきて、痛いのかそうじゃないのか分からなくなってくる。 「ぅぁ、あっ、あぁ……」 指に突かれる度に声が止めどなく溢れる。 ラディーは「あんまり解しても面白くないですね」と呟いて、今度こそ指を抜いた。 思わずホッと息を吐く。 やっと終わった……。 そう思ったボクの腰を、ラディーは片手でぐいと引き寄せて、ボクの何倍も大きなおちんちんをもう片方の手で構える。 「何……するの……?」 「これを入れるんですよ、君にね」 「や、やだ、そんなの入んないーーっぃぃいいああああああ゛あ゛あ゛」 ラディーが躊躇うことなく、力尽くでボクの中に入ってくる。 ミチミチメリメリとお尻の穴が無理矢理広げられて、ビリッと入り口の裂ける音が耳の奥に届く。 「いやぁぁぁぁぁあっっ! やめてっ、やめてラディー、お願いっっ!!」 泣き喚くボクに、ラディーは微笑む。 「すぐに、良くなりますよ」 そして、おちんちんをボクの中で動かし始める。 やっぱりそうなんだ。さっきの指みたいに、おちんちんも、ボクの中に出たり入ったり、ぐんっと奥を突いたりし始める。 ボクはその度に、痛くて苦しくて、繰り返し悲鳴を上げ続ける。 何回も、何回も、何回も突かれるうち、さっきみたいにジンジンしびれるような感じが、腰から背中の方に広がって、痛いのが熱いような感じになってきて……。 「ふ、あ、ぁっ……んんっ、ぁっ……ん……っ」 「おや、もう感じ始めたんですか?」 「ん……ぅ……んんっ……」 ラディーが動きをピタリと止める。 すると、お腹の下の方に集まってきた熱がすうっと引いてきて、痛みがぶり返してくる。 「ゔぅ……っ」 思わず顔を歪めたボクの耳を、ラディーがふわふわと指先で弄んだ。 「君の痛がる顔は、とても可愛いですよ」 耳元でラディーの甘い声がして、ボクの耳の毛がぶわりと膨らむ。 「っ……」 顔が赤くなるのが止められなくて、恥ずかしくなったボクは目を伏せる。 「もっと、可愛い顔を見せてくださいね」 ラディーが耳の中に指を差し入れてくる。 音がとても近くて、ぎゅっと目を閉じると、ラディーはもう片方の手でボクの乳首を触りだした。 大きく開いた手の親指と薬指で、右と左を一緒にぐりぐり捏ねられると、ボクのお尻がじゅんっと熱くなる。 ボクの腰がびくりと跳ねると、ラディーがまた小さく笑う。 「感じた時は、どうするんでしたか?」 言いながら、ラディーがボクを見つめる。 「あ、……ぁっ、か、感じ、る……っ」 ボクは言われた通り、ラディーに伝える。 その言葉に、ラディーは満足そうに口端を上げると、じわりと腰を動かす。 「んぅっ……っ……ん゛ん゛っ」 ぐちゅぐちゅと音を立てながら、ラディーがボクの中をゆるゆると掻き回す。 痛くて、でも熱くて、乳首もぐりぐりされて……。 「ふ、あ……っ、あ、ん……っ、ぅうん……っ」 「気持ちいいですか……?」 「わかんな……あっ、あ……ぁああっ!」 ラディーが強く奥を突く。 熱い感覚と一緒に、お腹の奥に甘い感じがジュワッと広がって、ボクは胸が苦しくなる。 「は、ぁ……きもち、いぃ…………」 ボクの口から、熱い息が漏れる。 視界のラディーがぼやけてる。ボクの目には涙がいっぱい溜まっていた。 「もっと気持ち良くしてあげますよ」 耳元で囁くラディーの声が酷く優しくて、ボクは頭の芯がじんわりしてしまう。 「ラディーにだったら……、ボク、何をされても……んぅ、あんっ」 ボクの言葉が終わるより、ラディーが先に動き出す。 「ふふふ、可愛いことを言う子ですね」 ラディーはゆらゆらと緩やかに出し入れをくり返しながら、ボクの耳をめくって、耳の穴に舌を差し込んでくる。 ぐちゅっとした水音が、次から次へ耳から直接ボクに届いて、まるで頭の中まで舐め回されているみたいだ。 「は……ぁぁ……ぁぁんっ……うううん……っ」 細めた目の端からぽろりと一粒涙が零れる。 背筋がゾクゾクする。頭の中が溶けてしまいそうで……。 「ぅ、ん……ぁ、あ、ラディー……っ」 「どうしました?」 「きもちい……きもち、いい、よぅ……っ」 ラディーがぐいと奥を突く。それに応えるようにボクの体が震える。 「ぁああっ、……んんっ、あっ……そこ、が……っ……ぁう……」 「ここがイイんですね」 ラディーが奥の方を続けて突くと、気持ちいいのがいっぱい、いっぱい広がる。 「あっ、あっ、ああっ、あああんっ、んぁああんっ」 声が止まらない、口の端から涎がとろとろ溢れてしまう。 なのに、ボクにはそれもよく分からなくなっていた。 「あんっ、きもちいい、いいっ、あああっ、いいよぅぅぅんっ!」 とにかく、頭の中が気持ちいいのでいっぱいで、それをラディーに伝えなきゃと思って……。 「ひぁんっ!」 ラディーがボクの首を舐める。 そのまま舌がボクの体を這っていく。 「ぅ、あ。ぁ……ぁぁあ……」 ゾクゾクがたくさん、その全部がお腹に集まっていくみたいで、何か、何かが弾けそうな……。 「きもち……ンンッ、よすぎて、ボク、っうあ、あ……」 ラディーの舌がボクの乳首を舐める。 「んぅぅうぅぅンンッっ……」 不意に、ガリっと噛まれてボクは叫びながらのけぞった。 「ゃあああああああああああっっ!!」 目の前がチカチカする。痛い、のに、すごく気持ち良くて……。 お腹……っっ、お腹がぎゅうって、ぎゅうううってするの、が……止まらな……。 「ああああああんんんんっっっ、ぎゅ、て、なる、よぅっっ!」 「ええ、とっても締まっていますよ」 ラディーが……ボクの中を、混ぜて……っっ。またギュッってなる……っっ。 体が勝手にガクガク跳ねて、止められ、な……。 「あっあっあっっ、だめっだめ、やだうごかな、で……ンンッあっ、あああああっっ」 そんな……そんな激しくしたら、ボク、おかしく、なっちゃう、よぅ……。 「やらっ、や、あ、うあ、ああん、あんっ」 そ、んな、ぐちゃぐちゃに、しな……、で……。 ボク……ボク……っっ。 「気持ち良いですか?」 ラディー……、ラディーに、答え、なきゃ……。 「あっ、き、もちい……っ、きもちっいいっっあああっんんんああああんっ、きもち、いいいいいいっっ!!」 「良く言えましたね」 あああっ、もっとはやく、なっ……っあああっ。 「んんんっ、ああんっ、きも、ち、いぃいいぃぃぃいンンンンっ!」 「良い子に、ご褒美ですよ」 やあっ、そんな、奥っっ、あああっ、壊れちゃうぅぅっ。 「ふぁっ!? おっき、く、あっああっあああああああああああああっ!!」 ボクのっ、ナカ、に、熱いのがっ、いっぱ……、いっぱいぃいいぃああああああ!! だ、め……っ、チカチカ、するうううううっっ。 ぎゅうううううって、なる、の、止まらな……っっとまら、な、うああっっ!! 「ああああああああああああっっっ!!」 ああ、まえが……みえない……。 しろ……く、しろくなる……よ……。 「おや、飛んでしまいましたか?」 も……まっしろ……で……。 ぜん、ぶ……。 まっ……、しろ……。 …………。 ---------- 目が覚めたら、ラディーはもう居なかった。 でもボクには服が着せてあったし、布も一枚かけてあった。 ラディーがかけてくれたのかと思うと、すごく嬉しくなる。 ぐぅ。とお腹が鳴って、今日はまだ何も食べてなかったことに気付く。 あの頃は、何も食べない日が多かったけど、ここに来てからは毎日何か食べることができた。 視線を動かすと、部屋の隅、ボクのスペースにあるテーブルに、食事が用意してあった。 「ラディーが置いていってくれたんだ……」 嬉しくて呟いたボクの声は、ひどく掠れていた。 喉も、とっても乾いてることに気付く。 あそこまで行けば、飲み物が飲める……。 体を起こすと、あちこちが痛い。 お尻は、ボクの体重がかかると飛び上がりたくなるくらい痛かったし、肩と脚の包帯のところからも薄く血が滲んでいた。 いっぱい動いたから、また継ぎ目がズレちゃったのかな……。 前に、廊下を通る誰かがラディーの合成は手荒だからソアクヒンしかできない。と言っていた。 十年も持たないだろう、可哀想に、という言葉も聞こえた。 ボクはきっと、そんなに長くは生きられないって事なんだろうな……。 硬い診察台から降りる。 立とうとしても、足の継ぎ目が痛くて歩けそうにない。 四つ這いになって、なんとか、部屋の隅に作ってあるボクのスペースに戻る。 硬い診察用のベッドとは違って、ふかふかのボクのお布団。 それに、ボクのテーブル。 部屋はいつも暖かくて、雨に降られたり、風に凍えたりすることもない。 ラディーはボクを良い子だと、可愛いと言ってくれる。 ちょっと前まで、こんな日がボクに来るなんて、思ってもいなかった。 ……やっぱりボク、幸せだなぁ。 ボクは思わず口元を緩ませながら、右手でトレイからコップを慎重に持ち上げると、震える左手の肉球をそうっと添えた。

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