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第10話

「きちんと出せましたか?」 「…うん、」 薄暗い洞窟から出ると、焚き火を囲むロワンとアルドの姿 とってもいい匂いがする… それもそのはず、焚き火の上には串に刺された沢山の肉が、美味しそうな音を鳴らしながら煙を上げていた 空は晴天で、太陽がギラギラと光っている そういえば昼食って言ってたけど何時頃なんだろうか どこかの貴族のように、ロワンが焚き火の側へとエスコートしてくれたので、言われるがままゆっくりと腰を下ろした。 「申し訳ございませんでした…」 焚き火を挟んだ向こう側、アルドの隣に座ったロワンが、深々と頭を下げた。 突然の謝罪に驚く俺の前で頭を上げたロワンが、アルドを見てスッと目を細める 「俺も…その、……悪かった。すまん」 「本当に申し訳ありません」 ロワンの視線を受け少し硬い表情で軽く頭を下げるアルドと、心底申し訳なさそうに深々と頭を下げるロワン こうして目の前で人に頭を下げられる事自体が初めてで、なんて言葉をかけていいかが分からない えーと、えーと、としどろもどろしていると、ロワンがゆっくりと顔を上げて、困り顔で笑った。 「突然血を吸った挙句、…何というか、色々してしまって…すみません」 色々、と言われて顔に熱が集まった。 うん、まあそりゃ色々されましたね、半分くらい記憶あやふやですけど、間違い無く色々されました でも、自分から求めてしまった記憶も微かに残っていたりするわけで… 「…俺の方こそ、取り乱してしまって…」 「いえ、それは!」 俺の言葉を遮るようにロワンが言う 「血を吸った時に、私が魔法薬物…魔薬を流し入れた事による副作用のせいかと。」 「まやく…?副作用…?」 聞き慣れない言葉に思わず首を傾げた。 そう言えばさっきも魔薬が何だ…とか言っていた気がする。あまり覚えてはいないが… 「ええ、稀に催淫の効果が出ると聞いたことがあるので…そのせいかと」 「さいいん…」 「はい。分かりやすく言うなら媚薬ですか」 申し訳なさそうにニッコリと笑うロワン 催淫、媚薬。なるほど すごく、とても、納得がいった。 ロワンに噛みつかれた直後、全身が痺れて熱くなったのを覚えている 媚薬か…そうか。媚薬のせい。 そうだ、さっきまでの俺は正気じゃなかったんだ、あれは本来の俺の姿ではない。仕方なかったんだ! と、全ては薬のせいだと思う事にして先ほどの己の醜態を忘れようと目を閉じる、がそんな考えの中目を閉じたせいか、さっきまでの光景が瞼の裏に浮かび上がってしまい、慌てて目を開きその光景を消すように首を振った。 「お詫びと言っては何ですが…私が出来ることがあれば何でも言ってください」 申し訳なさそうロワンの顔 ロワンが出来る事で何でも? そんなの一つしかない! 「さっきまでの事は 全部忘れてください!!!!」 そう即答すると、ロワンは困った様に笑って「そんな事でいいのですか?分かりました」と小さく頷いた。 俺も忘れるので、どうか全部忘れて…そして2度と思い出さないで欲しい 出来ればアルドにも忘れていただきたいのだけれども… そんな俺たちを横目に、アルドがグイッと大きく伸びをして、「とりあえず食おう」と、 良い色に焼き上がった肉を指した。 うん。とっても美味しそう

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