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04. ◆ボクらの放課後
授業が終わり、放課後になった。
素直は帰り支度を済ませ、お気に入りの赤いリュックを背負いながら竜の席へと駆け寄った。
「リューウ、帰ろうぜー」
「あぁ。ちょっと待て」
二人とも部活や委員会には所属してない。特にこの後どこか行く予定もないので、真っ直ぐ寮へと帰ることになる。
「いいねぇ、寮暮らし。すぐ近くだもんね」
「斗望は実家から通ってるんだっけ」
「んー、まぁね。しかも二人、同室なんでしょ? 朝から晩までずっと一緒だね」
「おう。竜のおかげで寝坊することなくなったぞ!」
ドヤ顔を浮かべる素直に、竜が威張るなと軽く頭を叩く。
「羨ましいなぁ。二人は高校から知り合ったのに、随分仲良しだよね」
「そりゃあ毎日一緒だからな!」
「俺、入学式のときサボっちゃったからなー。二人の出会いの瞬間を見れなかったの残念だよ」
「てゆうか、なんで入学式サボってんだよ」
「色々あったんだよ。言っちゃえば人助け?」
「はぁ?」
「まぁいいじゃん。それじゃ、俺は先に帰るよ。また明日ねー」
ヒラヒラと手を振って、斗望は教室を後にした。
去りゆく斗望の背中を見送り、竜も帰り支度を終わらせる。
「帰るか」
「おうっ!」
カバンを持ち、二人は教室を出た。
他愛ない話をしながら階段をおりていくと、一人の男性と鉢合わせた。
「白亜先生!」
「素直、それに夏川。今から帰りか」
「うん!」
彼は漆原白亜《ウルシバラハクア》。白い長髪という明らかに浮いた容姿だが、紛れもないこの学園の国語教諭だ。
素直は嬉しそうな笑顔で白亜の元に駆け寄り、今日一日の出来事などを楽しげに話をしている。
竜はそんな二人の会話を黙って聞いている。素直から聞いた話だが、二人は付き合いが長く、幼稚舎の頃からお世話になっているらしい。
「なぁ、白亜先生。また生徒会長が竜のこと勧誘してきた! ずっと断ってんのに酷くない!?」
「そうか。でも相良にも理由があるんだろう。夏川は成績優秀だしな」
「そりゃーリュウは凄いけどさ! 俺はアイツ好きじゃない!」
「それは素直の個人的な感情だろう」
白亜は優しい笑みを浮かべ、素直の頭を撫でた。
白亜と話をしてる時の素直は、まるで親に甘えてるようにも見える。竜はそんな風に二人の様子を眺めながら、微笑ましく思った。
「じゃあ、気をつけて帰るんだぞ」
「大丈夫だよ。学生寮、すぐ隣じゃん」
「夏川、素直を頼んだぞ」
「分かりました」
「頼むってなんだよ! いつまでも子供扱いするなよ!」
最後にもう一度頭を撫でて、白亜は二人から離れていった。
拗ねた顔をする素直に小さく笑を零し、竜は「行くぞ」と声をかけてまた階段を下っていった。
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