2 / 4

第2話

手を繋いで歩くことに未だ慣れず、なんとなくいつも照れてしまう。 俯いて仄かに頬を赤くする俺を、心地好い秋風が優しく包む。 不意にふわりと香る金木犀の匂いに誘われて公園へ立ち寄った。 「綺麗なオレンジ色だね。良い香り。」 「そうですね。秋って感じがします。」 「秋が一番好きだなぁ。」 「俺もです。」 少しの間ぼんやりと金木犀を見て回り、公園を出てすぐ近くのスーパーに入った。 買い物をしている主婦やアルバイト中の学生を横目に、カゴを持って夕食を考える要さんの斜め後ろをついて歩く。 「何が食べたい?」 「..ハンバーグ。」 「いつもの煮込み豆腐ハンバーグ?」 「はい。あれが良いです。」 料理が得意だと言うそこら辺の女の子たちより、要さんの方が絶対に上手いだろうな、と思う。 昔から野菜嫌いで全く食べられなかった俺の為に、栄養が偏るからと言って、いつも食べられるように工夫してくれるのだ。 「これで全部かな。」 「じゃあ、帰りましょうか。」 「うん、そうだね。」 共有財布から要さんが会計を済ませると、二人でカゴの中身を袋に詰め込んだ。 そしてその袋を俺は肩に掛け、来た時と同じように手を繋いで店を出た。

ともだちにシェアしよう!