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第1話
夜まで雑誌の撮影があると言って出掛けていった龍の後ろ姿を見送る。
今日は2月14日、街が幸せ色に染まる特別な日。
去年は展示会があり、忙しくて何も出来なかったから、今年は好物のプリンを作ってあげようと思い既に買い物を済ませていた。
「えっと、卵と牛乳と生クリーム。後はチョコレートかな。」
エプロンを身に纏い材料をテーブルの上に並べて、手際よくボウルに卵を割ってほぐす。
それから鍋に牛乳と生クリームを入れて温め、鍋肌が沸々としてきたら、火を止めチョコレートを割り入れてゴムベラを使い溶かしていく。
ふんわりと香る甘い匂いに、龍のくしゃりと笑う顔が浮かび心が踊る。
「卵に鍋のやつを混ぜて..っと。」
ほぐしておいた卵に溶かしたチョコレートの液を混ぜ、プリンの型に流し込む。
蒸し焼きにする為にフライパンに水を張り、その上に型を並べ蓋をして弱火で加熱して15分後にタイマーをセットした。
「よし。次はトッピング用のホイップクリームと苺だね。」
新たなボウルに生クリームを入れ砂糖とレモン汁を少し加えてからハンドミキサーでささっとホイップクリームを作り上げる。
それを絞り袋に入れ、苺をカットし終えたところで丁度タイマーが鳴り、様子を確認すると良い具合に完成していた。
「喜んでくれると良いなぁ。」
冷蔵庫に全てしまい、そのまま夕飯の準備を始める。
時間を確認すると、いつの間にか18時を回っていた。
きっともうすぐ帰ってくるだろう。
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