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第2話

「ただいま。」 「おかえり。今日はクリームシチューだよ。」 「良い匂い。着替えてきます。」 「はーい。」 帰宅の挨拶もそこそこに龍は僕の腰に腕を回し、背中から顔を覗かせた。 たまにこうして甘えてくる姿が可愛くて仕方がない。 片手で鍋の中を混ぜながら、もう片手で頭を撫でると満足げに笑い自室へと向かった。 「持っていきますね?」 「うん、ありがとう。」 ラフな格好に着替えて戻ってきた龍は盛り付け終えたサラダやシチューの皿をテーブルへ運ぶと、どこかソワついた様子で手招きをしてくる。 そんなにシチューが嬉しかったのかな、なんて考えながら食卓に向かい合って座り手を合わせた。 「今日はね、デザートがあるんだよー。」 「デザート?何ですか?」 「ふふふ、内緒!ちょっと待ってて。」 「はい。」 暫くして食べ終えた食器を片付けようと立ち上がった龍を止めてキッチンへ向かい、冷蔵庫からプリンを取り出した。 それに仕上げのホイップクリームと苺をトッピングし、驚かせようと背後に隠す。 急にドキドキしてきて、まるで恋する乙女みたいだ。 ほんの少し頬が熱くなるのを感じながらリビングへと戻った。 「..はい、ハッピーバレンタイン!特別にチョコ味だよ。」 「わ、美味しそう。」 「えへへ、喜んでもらえて良かった。」 「ほんと嬉しいです。ありがとうございます。」 にへらと笑う姿が見られたから、それだけで作って良かったと思える。 ホッとしてコツンと肩に顔を埋めると、不意に龍が口を開いた。 「あの、今日本当は撮影じゃなかったんです。」 「え?」 「実は真尋と陽輝に教わりながらチョコレートを作っていたんです。要さんに何かサプライズしたいって話したら教えてやるって言ってくれて。手の込んだ物は作れなかったんですけど、良かったら貰ってください。」 「勿論!頑張ってくれたんだね、ありがとう。」

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