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第3話
サプライズしたつもりが逆にサプライズされてしまって、驚いたのと同時に嬉しさが込み上げてくる。
料理の苦手な龍があたふたしながら一生懸命作ってくれたんだと思うと、微笑ましくて愛しくてたまらない気持ちになった。
「食べよっか。紅茶とコーヒーどっちが良い?」
「えっと、コーヒーで。」
「ブラックだよね。」
「はい。」
食器棚からマグカップを2つ取り、熱々のコーヒーを注ぎ入れる。
横目で龍を見ると何故か浮かない顔をしていて、心配になり急いで食卓へ戻った。
「お待たせ。どうしたの?」
「二人に味見してもらったんで、味は大丈夫だと思います..」
「へ?..ふはっ、なんて顔してるの。」
「だって..」
自信なさげに少し俯く姿があまりに情けなくて、思わず笑ってしまった。
マグカップをテーブルに置き可愛らしい箱に入ったチョコレートをひとつ摘まみ上げると、それを口に含みそのまま龍の頭を引き寄せてキスをする。
「ん..甘くて美味しい。どう?」
「..っ美味しい、です..」
「ふふ、本当にありがとうね。」
「こちらこそ、ありがとうございます。」
笑ったり泣いたり龍の全てを独り占めしたい、なんてちょっと欲張りすぎるかな。
ーーー大好きだよ。
とろけるような甘い時間を君と、いつまでも。
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