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第4話
「拒否されるのが怖くてずっと伝えられなかったけど、俺も理久が好きだったんだ。」
「え..?」
「言えないくせに想いはどんどん膨れ上がって、それを誤魔化す為に他の奴らとばかり過ごしてみたけど、寂しかったし、本当はもっと理久と一緒に居たいと思ってた。」
「晴斗..」
彼がそんな風に想ってくれていたなんて、想像もしなかった。
好きだったのも、傍に居たかったのも、僕だけじゃなかったのだ。
それが分かっただけでも少し救われたような気がした。
「距離が離れていくのを感じたけど、どうすることも出来ないうちに卒業しちゃって、ちゃんと話をしようと思った時にはもう理久は居なかったんだ。モヤモヤした気持ちを抱えたまま大学を出て、仕事で地元から遠く離れた此処に引っ越すことが決まって、もう二度と逢えないんだって諦めてた。だから、今こうして話をしているのも、何だか夢みたいだなって思う。」
「..うん。」
「嫌われるのが怖いとかくだらないこと言ってないで、早く気持ちを伝えれば良かった。そうしたら、理久を辛い目に遭わせずに済んだかもしれないのに。ほんと馬鹿だな、俺..」
「..晴斗のせいじゃないよ。僕が弱かったのが悪いんだから、そんな顔しないで..」
此方を見る彼の表情が徐々に曇っていく。
気持ちを伝えられなかったのは僕も同じなのに、自分を責めているようだった。
僕の為に傷付く必要なんて、一つもないというのに。
暫く黙ったまま互いに俯いていると、彼が不意に小さく笑った。
「..俺は今でも理久のことが好きだよ。」
「嬉しい。嬉しい..けど、僕..汚いから..それに、晴斗の手だって、分かってても..触れられるの、怖かった..」
「怖いなら、触れても大丈夫だと思えるまで待ってる。もう、一人で苦しまないでくれ。何をしてやれるかはまだ分かんないけど、頼ってほしい。理久を汚いなんて思わないし、さっき言った通り過去を聞いても好きな気持ちは変わってない。だから、今度は恋人として傍に居させてくれないか?」
「..僕も、晴斗の傍に居たい。時間は掛かるかもしれないけど、いつか手を繋いだり、抱き合って眠ったり、恋人らしいことが出来るようになりたい。僕なんかを忘れないでいてくれて、偶然にでも見つけ出してくれて、ありがとう..っ」
彼の言葉に心が温かくなるのを感じ、はらはらと涙が溢れ落ちていく。
そんな僕を見て微笑む彼の目からも、同じように涙が溢れ落ちた。
「「..好きだよ。」」
すれ違い続けた想いがやっと重なり合い、これから始まる新しい生活が二人にとって幸福なものになるように願いながら、そっと微笑み返した。
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