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第3話

まず最初にしたのは、もう通う必要がなくなった大学を辞めること。 友人達は驚いた様子で理由が聞いてきたけれど、何も話さず曖昧にはぐらかしてしまった。 話したところでどうしようもないし、聞いて欲しいとも思わなかった。 優しい人ばかりだったから、本当のことを打ち明ければ、きっと彼を探す手伝いをしてくれてしまうし、死ぬと分かれば俺なんかの為でも悲しでくれるだろうことが想像できた。 これは俺の問題で、他人に頼ったら意味がない。 独りは心細く少し寂しいけれど、正しい判断だったと思う。 次にやったのは、ありとあらゆるSNSで彼の名前を検索すること。 もちろん簡単に出てくるとは思っていなかったけれど、万が一のことを考えればやってみる価値はあると思ったのだ。 だけど使っていないのか、それともHNなのか、結果はやはり出てこない。 もしかしたら先輩達との繋がりがあるかもしれないと思いそれも調べてみたけれど、彼らしきアイコンや投稿写真、関連タグもなかった。 これらを気が済むまで調べていると、いつの間にか一週間ちょっとの時間を費やしていた。 情報は何一つとして見つけられなかったけれど。 「..何処に、居るんだよ..」 ずっとPCに張り付いて凛太朗と彼について考えていれば、すぐに症状が出てくるのは当たり前だった。 まだ範囲は狭くても常に締め付けるような痛みがあり、既に眠れない日もある。 こんなペースで進行したら、後どのくらい保つか分からない。 早く見つけ出さないと、先に動けなくなってしまう。 何でも良い、少しで良いから、手掛かりが欲しい。 ため息にも似た情けない声が、ぽろりと思わず溢れた。

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