1 / 4

ひまのっ!! 「恋愛びより」より。

「ねぇ、おとうさん」 「なんだ?」 「ひまにはどうしてママがいないの?」 「ママはね、病気で遠いお空の彼方に行ってしまったんだ。もう会えない」 「ママ……」 「だけどね、きっとママはこうして今もひまりの側にいるんだよ」 「そばにいる?」 「ああ、そうだ」  ** 「ひまちゃん、ばいばい」 「ばいばい、ひまちゃん」  りんごみたいなお色のお空になった頃。  保育園のお友達はみんなママと一緒にバイバイしていく。  ……ひまにはママがいない。  わがままだってわかってる。  でも、ひまにもママがほしいよ……。  ぽつん。  ひとりぼっちになっちゃった。 「まま……」  ひまが乗っているぞうさんをギュってする。  お空にはおひさまが見えるのに、ぐにゃってする。  心が痛いよ。 「ひまりちゃんのおとうさん、まだかな~」 「――っつ!」 「ね」  この人はひまたちのせんせい。  にっこり。  お目めがぐにゃってする中で、せんせいが笑う。  とてもやさしい笑顔。 「うええええっ」  だからひま、もっと泣いちゃう。  保育園ではひまはおねいさん。  だから泣いちゃいけない。  おとうさんとお約束したのに……。  お約束、守れない。  でも、せんせいはひとつも怒らない。  だからひまは、ギュってするのをぞうさんからせんせいに代えた。  ポンポン。  大きな手が背中をなでてくれる。 「おとうさんがお迎えに来るまで一緒に遊ぼうか」 『ママはひまりの側にいる』  おとうさんはそう言っていた。  そっか。  おとうさん、ひまのママ見つけたよっ!!  **END**

ともだちにシェアしよう!