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ひまのっ!! 「恋愛びより」より。
「ねぇ、おとうさん」
「なんだ?」
「ひまにはどうしてママがいないの?」
「ママはね、病気で遠いお空の彼方に行ってしまったんだ。もう会えない」
「ママ……」
「だけどね、きっとママはこうして今もひまりの側にいるんだよ」
「そばにいる?」
「ああ、そうだ」
**
「ひまちゃん、ばいばい」
「ばいばい、ひまちゃん」
りんごみたいなお色のお空になった頃。
保育園のお友達はみんなママと一緒にバイバイしていく。
……ひまにはママがいない。
わがままだってわかってる。
でも、ひまにもママがほしいよ……。
ぽつん。
ひとりぼっちになっちゃった。
「まま……」
ひまが乗っているぞうさんをギュってする。
お空にはおひさまが見えるのに、ぐにゃってする。
心が痛いよ。
「ひまりちゃんのおとうさん、まだかな~」
「――っつ!」
「ね」
この人はひまたちのせんせい。
にっこり。
お目めがぐにゃってする中で、せんせいが笑う。
とてもやさしい笑顔。
「うええええっ」
だからひま、もっと泣いちゃう。
保育園ではひまはおねいさん。
だから泣いちゃいけない。
おとうさんとお約束したのに……。
お約束、守れない。
でも、せんせいはひとつも怒らない。
だからひまは、ギュってするのをぞうさんからせんせいに代えた。
ポンポン。
大きな手が背中をなでてくれる。
「おとうさんがお迎えに来るまで一緒に遊ぼうか」
『ママはひまりの側にいる』
おとうさんはそう言っていた。
そっか。
おとうさん、ひまのママ見つけたよっ!!
**END**
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