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ネコと猫_12
ようやく解放された唇から途端に酸素が入り込んでくる。
「ハァッ……ハァ……おまっ、」
「ふふふ、キスはまあまあですね。下手ではないけれど特別巧くもない」
そう言って濡れた自身の唇に舌を這わせる仕草はまさに妖艶だ。
「あれ?先輩、しっかり勃ってますね?そんなにキス、気持ちよかった?」
俺の両手を片手で頭上に押さえ付けて、空いた手で俺のモノを撫でてくる。
「やっ……ふざけんな、やめっ……」
ここで話は冒頭に戻る。
「ふふふ、可愛い」
「んっ………やめ、離、せ……っ…」
「キスだけでそんな顔させてるのに、離せるわけない」
くそっ……なんで俺がこんな目に……!
「お前っ……ネコ、好きだっつっただろ!」
「ええ、言いましたよ。猫は大好きです、にゃんにゃん」
「そっちじゃ…………っ…ねぇっ……んあ!」
「あれ、胸も感じるんですか?やっぱ才能ありますよ、ネコの。僕ね、先輩みたいに気が強くて、いかにもタチって感じの人をグズグズに抱き潰すの好きなんですよ」
舌を舐めずる仕草はやはり無駄な色気を放つ。
「くそっ……も、やめ……」
「まさか。これからが楽しいところですよ?」
「嘘、つき……」
「嘘じゃないです。猫は好きですよ、昼間の質問に答えてなかったなと思い出したのでお答えしたまでです。ちゃんと猫、好きですよ」
コイツ、絶対、からかってやがる!
「先輩、抱かれたことないんですよね?」
「あ、当たり前だろ!こんなデカい男を抱こうなんて悪趣味な奴はお前ぐらいのもんだ!」
キッと睨んでも蓮沼は嬉しそうに笑うだけ。
「じゃあ先輩の初めてを奪えるわけだ。ふふ、嬉しいです。忘れられないぐらい気持ちよくしますね」
そう言って胸をまさぐる手が尖りを弄り始める。
確かに相手を抱くとき俺も前戯としてそこを愛撫するが、自分がやられたことはない。
「ンッ……やめ、くすぐった……ぃ」
「擽ったい、それだけ?違うんでしょう?」
耳元で囁かれる声は甘く響いて、厄介だ。
「だって、ほら」
カリッと尖りに爪を立てられて身体が跳ねる。
「ね?こんなに反応してる」
「ふざ、けんなっ」
「ああもう、そんな反抗的な目しないでください。ゾクゾクします」
恍惚な表情を浮かべる後輩は間違いなく変態だ。
見上げていた顔が少し下へ下がる。
まさか、と思った頃には遅かった。
「おい、いい加減に――」
言い終える前、胸の尖りが蓮沼の口の中へ消えていくのを見た。
ちゅっと音がして吸われるとゾクゾクとした何かが身体を駆ける。
「あ……やっ………」
「ふふ、かぁーわいい」
ペロッと舌が舐めずり回してくる。
その度に何とも言えないむず痒い感覚が身体を走って、羞恥心からなのか全身に熱を持ってくる。
「気持ちいい、でしょう?」
「んなわけ――」
「へぇ…」
ひときわ強く吸い付かれた。
「ん、ぁッ!」
「やらしい声ですね」
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