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ネコと猫_11
中へ入って俺は浴室へと直行。
ムードがないなぁと聞こえた気がしたが無視。
俺が出ると入れ違いで蓮沼が入っていく。
「すぐ戻ります」と言った蓮沼に「準備あるだろうからゆっくりでいい」なんて厭味ったらしく言ってやった。
数分で姿を見せた蓮沼の上半身は何も身に付けず、程よくついた筋肉が目に入った。男から見てもバランスが取れていて魅力的だと思う。
「ふふふ、そんなに見つめないでくださいよ」
思わず見惚れていたら笑われた。
「うるせー、早く来い」
腰掛けていたベッドを叩けば、蓮沼は隣へ腰を下ろした。
蓮沼の肩に手を掛けて、ゆっくりとその身体を押し倒す。
蓮沼はされるがままになっていて、けれどその表情はどこか余裕が垣間見える。
ほんと気に食わないな……。
じっと睨んでやれば、続きは?とこれまた余裕な言葉が返ってきた。
「後悔、すんなよ」
「ふふふ、しませんよ」
ぜってー泣かす。
意気込んでまずは弧を描く唇に、自分のそれを重ねた。
風呂上がりだからか、しっとりとした感触だ。
数回触れ合わせて、それから中へと舌を入れる。
抵抗らしい抵抗もないまま、すんなりと侵入を許され、口腔を犯していく。
これでもそれなりに場数を踏んできたんだ。
キスもそこそこ巧い自信がある。
多少なりと喘がせてやろうと躍起になって、舌を動かした。
俺が先導して組強いた蓮沼が息も絶え絶えになる。
……はずだったのに。
「んんっ……んー!?」
くぐもった声を上げたのは俺だった。
おかしい、俺が主導権を握っていたはずなのに……いつの間にか俺の口腔が犯され始めてる……。
思わず逃げ腰になってしまった舌を絡み取られ、逃がさないと言うように吸われる。
くそ……息、苦し………。
と油断していたのが悪かった。
急にぐるりと視界が反転して、俺の身体は蓮沼の下。
両手を押さえ付けられ、抵抗さえままならない。
「ん、んんーっ!」
一向に離されない口で非難の声を上げた。
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