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幼馴染み
「話があるんだ…」
誰もいなくなった教室で、僕は奏太に告げた。
一瞬、驚いたように僕を見ていた奏太だったけど、すぐに表情を元に戻すと、
「立ってないで座ったら?」
と、声を掛けてきた。
きっと今の僕は、緊張のあまり顔が強張っているに違いない。
奏太もそのことには気づいているはず。
言われるまま奏太の前の席の椅子に腰を下ろすと、空には真っ赤な夕日が広がっている。
その光が僕の緊張を解いてくれた気がして、再び奏太へと視線を戻す。
「あのね、僕ね…」
話を切り出そうとした瞬間だった…。
奏太があの日と同じように僕の体を包み込むのを感じる。
ただ、あの日とは違って、優しく奏太の温もりが伝わってくる…。
「雄大…好きだ…」
耳元から聞こえてきた言葉…。
その言葉で全てがわかる…。
それ以上の言葉なんていらない。
「僕も…奏太が好き…」
このたった一言がずっと言えなかった。
こんなにも近くに奏太はいたのに…。
いつでも届くことろにいてくれてたのに…。
抱きしめられている背中に腕を回す。
それに答えるように更に強くなっていく奏太の腕…。
もう自分の気持ちに蓋をしたりしない。
だって僕は奏太が好きだから…。
この思いを大切にしたいから…。
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