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70.低脳すぎて疲れた僕

   猫野がやられたらしい。  だから警告してやったのにちょろすぎるだろう。  しかしこうも続けて行動を起こすなんてあのルイ信者どもは相当ご立腹のようだ。  僕が今朝教室に行くと僕の写真が数枚黒板に貼られていた。  何かしら行動を起こすだろうとは思っていたが、案外早かったな。  ご丁寧に拡大コピーまでして貼られた写真は、僕が男にスタンガンを突き付けるもの。うわぁ僕ったらいい笑顔。 『暴力反対!』『危険人物注意!』『学園から出てけ!』とか何とか語彙力低そうな言葉が汚い字で一緒に書かれていた。  僕が教室に入ったとたん目をそらした生徒達がそそくさと僕から離れていく。そんなやつらはぶっちゃけ眼中にないから良いんだけどね。 「うぉっ、何だこれ……」 「あぁ猫野、おはよ」 「おぅおはよアリスちゃん……てかこれどしたん?」 「見ての通りだよ」  このままにしておくのも授業の邪魔になるだろうから仕方なく片付けに入ると猫野も手伝ってくれた。  他にも数人が手伝ってくれたから黒板はすぐに元通りになったが、僕よりも心配そうな顔した猫野が「大丈夫か?」と訊いてくる。 「予想はしてたからね。それより猫野も気をつけた方が良いよ」  昨日の事の成り行きを説明すれば、青い顔した猫野が慌てて教室を出ていった。  おそらく私物に細工をされないよう片付けに行ったのだろう。  そこまでは良かったのに結局不利な証拠を作られてしまうなんて、やっぱり猫野は詰めが甘い。 「そろそろ僕も動かなくちゃかなぁ……面倒くさいけど」  おそらく奴らは僕に対しての対処として嫌がらせを続けて来るだろう。自主退学を狙うために。  しかし僕はルイさえ居れば何の問題も無いのでいくらでもどうぞと思うのだが、ルイとの関わりを邪魔されるのは大問題だ。  おまけに僕が嫌がらせをされているとルイが知ったら物凄く心配するし悲しませるだろう。  心配してくれるのは嬉しいしかわいいし大歓迎なのだが、悲しませるのは駄目だ。 「……でも白伊先輩とやらは失脚してくんないかな……」  ルイも不良だと言っていたし、奴らも素行が悪いと証言していた。  未だに謎のその先輩は、なぜだかルイが探してまで会おうとした人物。  どこの誰だか知らないが、そんな不良がどうやってルイの心の片隅に住み着いたのか。  もしや強引に迫られたのでは? と考えると無性にイライラしてその先輩にこそスタンガンを使うべきではと思えてくる。  やっぱりスタンガンはルイに返そうかな。そんでその先輩の股間にスタンガンくらわせて不能にしたら良いよ。  もやもやした気持ちを抱えながら寮に帰ると、部屋のドアには『バーカ』と書かれた紙が貼ってあった。 「小学生か……」  これからこんな低脳な奴らの相手をしないといけないのかと思うと、どっと疲れが押し寄せたのだった。  ルイの写真を見て癒やされよう。  

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