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じゃんけん

俺が和樹を好きだと気づいたのはいつだっただろう? 小さい頃からずっと親友として側にいたから、この気持ちが好きだと気づくのに時間が掛かりすぎたんだ。 当たり前のように隣にいて、天使のように笑う和樹に恋をした。 その恋は叶うはずなんてないのに、俺はここで立ち止まったまま進めないでいる。 和樹は俺のことをどう思っているんだろう? そんなことを考えてみても本当のことなんて聞けなくて、今も俺は和樹が一生懸命に話をしている顔をぼんやりと眺めていた。 『……うた…、ねえ、亮太』 『えっ、何?』 『もう、さっきからボーッとして、僕の話聞いてる?』 『ああ…聞いてるよ。和哉とサッカー観るか野球観るかで言い合いになったんだろ?』 『…そっだけど…聞いてたんだ…』 聞いてないわけじゃない… ただ、目の前にいる和樹を眺めていただけ… 耳はしっかりと和樹の話を聞き逃すまいと澄ましているから。 そうしないと、こうして怒ってくるだろ? 和哉というのは和樹の双子の兄貴で、野球好きで高校でも野球部に所属している結構名の知れたピッチャーだったりする。そして和樹はサッカー好きでサッカー部に所属。 好きだと気づいた頃は、こんな器用に振る舞うことなんてできなくて戸惑うこともあったけど、今はどうすれば和樹の側にいられるかを考えるようになった。 だから、ぼんやりしていてもしっかりと耳を済まして和樹の声を拾う。 『でっ、最終的には?』 『僕の勝ち。じゃんけんで勝ったからサッカー観戦』 『へえ、良かったじゃん』 『いっつも負けるんだもん。たまには勝たなきゃね』 じゃんけん… 和樹は異様にじゃんけんが弱い。 パターンが決まってるからだ。 俺はそれを知っていて、時々負けてやる。 その時の和樹の勝ち誇った顔を見るのが好きで堪らない。 『だからさ…亮太、僕とじゃんけんしない?』 『俺と? 何で?』 『負けたら好きな人を教えるっていうのはどう?』 『何だよそれ…』 突然の話に、俺は正直戸惑った。 もしも俺が負けたら…? 自分の気持ちを伝えなきゃならないことになる。 そんなことできるわけない…。 だけど、そんな提案を持ちかけるってことは和樹にも好きな人がいるってこと…だよな? それって、完全に俺に脈なしって言われてるみたいで悔しいし…。 それでも気になる… 和樹の好きな人… 『今なら勝てる気がするんだ…』 『いいよ…。じゃんけんしよ』 自分が負けないとは言い切れない… でも、和樹が勝つ確率よりはずっと高いはず… 知りたい…その思いだけで俺はOKした。

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