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救済
拾ったろう。
彼は決意した。
拾えるヤツは全員や。
この力はそのためにある。
やるべきことをみつけた清々しさがあった。
街を見下ろす。
彼は高層ビルの屋上にいた。
立ち入り禁止だったが構わない。
誰も彼に禁じることなど出来ない。
誰にも許さない。
空が白みはじめた。
街はまだ夜の名残の青の中に沈んでた。
この街にどれくらいいる?
拾ってやらなあかんヤツは
「・・・面白くなると思わへんか?」
彼は笑って男に言った。
男は無関心な目を街に向けていた。
男は無表情に言った。
「ボクはお前に従うだけや・・・面白いもおもんないも関係ない。お前がしたいんやったらそれでええ」
「ほな、始めよか」
少年は両手を街へと広げた。
「助けられるヤツは助けてやろうや」
助けて欲しいヤツはオレんとこに来いや。
夜明けの光が強くなり始めた。
彼の背後から朝日が射す。
まるで宗教画の聖人のように、光は彼を彩った。
彼の姿に見惚れながら、男にはそれが始まりには相応しい光景に思えた。
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