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記憶9

 本当に思っていることを言えば、くだらない夢だ。  ガキ達の境界線を取っ払いたいなんて。  ガキの間のほんのわずかの自由でしかない。  残りの人生は過酷だ。  若い頃の輝く思い出だけで生きていけと。  ・・・いや、悪くはないか。  それすらない連中もたくさんいるからだ。  でも、人生のわずかな一瞬の花火でしかない。  それに、ガキ達がただ集まっているわけじゃない。  もうすでに、悪いヤツらの金儲けの手段に利用されているガキ達も多い。  街に来てからボクは知った。  アイツが思っている以上に、世界は汚い。  世界から見捨てられたガキ達は、もう一つの世界に組み込まれていくのだ。     そこでは悪いヤツらが、奪い喰らうために蠢いている。  ガキ達は喰われる。  見捨てられながら生きるか、掃き出され食い物にされるかしか選択肢はない。   どちらにしても、この街のガキ達にはろくなことがない。  境界線のない世界。  それを望むことは、もう一つの世界と渡り合う必要があった。  汚い連中とどう付き合っていくか。  こいつらを、全員殺すことが出来るなら、話は簡単なのに。  それでもボクは。  だからボクは。  ソイツらと上手くつき合う。  協力はしないが敵対はしないモノとして。  時に、ボクだけは協力する。  アイツらの汚い仕事を。  いい。  ボクはどうせ汚い。  アイツとは違う。  現る敵達をアイツの知らないところで汚い手を使い葬り、  汚い世界と渡り合う。  それでいい。  境界線のない世界。   あんたがそれを見たいと言うなら、見せたりたい。  あんたの望みがボクの望みや。  ボクは汚い。  でも、あんたの側におらしてくれ。    そして、叶わない願いをこっそり持つことだけは許して欲しい。  ・・・あんたの全部をボクのものにする。  かなわん夢でも 、持つくらいええやろ・・・。  

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