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V.S 9
「来たぞ、燃やせ!」
僕は叫んだ。
ほとんど水のない下水道を歩いていた。
そして、その先には思った通り、ガキの集団がいた。
10人か。
いい人数だ。
反応もいい。
ものすごいスピードで、触手のようなものが伸びてくる。
アイツらの腕だ。
蔦のように伸びて来る。
犬の部下達はさすがに良い反応だった。
伸びてきた触手のような腕に即座に反応、担いでいた武器を放射していた。
火炎放射機。
ナパーム使用。
僕が犬に頼んでいたものだ。
今では戦争に使うことも禁じられている一品だ。
粘りのある可燃性の液体を放射し、燃やすため、火は勝手には消えない。
水をかけても消えない。
アイツらは銃では死なないらしいが、炎ならどうだ?
触手のような腕は燃え上がり、本体へと火が燃え広がる。
さらに火炎放射機が、長い炎を噴射し、追い討ちをかけた。
悲鳴を上げて、轟音と炎の中、まだ20才にもなっていない姿のガキが燃えて行く。
絶叫、苦痛に歪む顔。
苦しむ姿。
ゾクゾクした。
ただ、肉の焼ける匂いはしなかった。
肉が焼ける、あの縮みながら焦げていく醜い燃え方ではなく、木が燃えるようにその形をとどめながら美しく、そのガキは燃えた。
美しいとさえ思った。
これはこれで悪くない。
火炎放射機、これ、欲しい。
使いたい。
ガキ達が、仲間を燃やされ、色めき立った。
またこれが良い判断で、撤退する。
判断が速い。
素人にしては正しい。
犬の部下達が追いかける。
そうだそれが正解だ。
逃げるのも、追うのも。
でも、既に僕はガソリンをまいていた。
空気中にいい感じで、気化している頃だった。
燃えていた少年の火からまず引火した。
ボン
炎が燃え上がった。
だから、さらに僕は手榴弾を投げた。
手榴弾は犬の部下達の前に落ちた。
そして、僕は伏せた。
爆発音。
爆発は犬の部下達を吹き飛ばした。
犬の部下達が背負った火炎放射機も、中の液体を飛び散らしながら爆発する。
「・・何故、俺達も・・・」
犬の部下の一人が吹き飛ばされる前につぶやいていた。
手榴弾の爆発は、ガソリンと、火炎放射機の燃料を吸収し、巨大な炎と爆風になる。
炎は生き物のように荒れ狂った。
空気は出口に向かって流れる。
つまり、ガキ達が逃げようと目指す出口へと。
すべての爆風と炎は出口へむかって走り抜け、そこにあるすべてを焼き尽くした。
そう、犬の部下達も一緒に。
素晴らしい。
たった二人の死で、10人の化け物が殺せた。
僕の予定通りに。
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