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V.S 10
そう、僕でも、50人近い葉っぱ人間達はそれなりに面倒だった。
しかも、時間は限られていた。
早くあの金髪のガキを殺さないと、人気が出てきて殺すことが難しくなる。
なんとしても、今日明日で勝負をつけなければならなかった。
僕は犬に言った。
「3人よこせ」
3人の犬の部下の命と引き換えに、葉っぱ人間達を殺すつもりだった。
犬は嫌がった。
まあ、当然だ。
でも、ボクは言った。
「お前は僕のたてる作戦に反対出来る権限はないはずだ」
そう、犬は僕の言うことに逆らえない。
上からの指示がない限り。
「聞いてみろ、上は僕の言うとおりにしろというはずだ」
そして、僕は言う。
「誰を死なせるかはお前が選べ。お前が選ぶんだ」
僕は犬に向かって微笑んだ。
「そう、お前は命令に従っているだけだ。お前の意志じゃないと思えば楽だろう。でも、今回はお前が選び、お前の意志で殺すんだ。お前の部下が死ぬのはお前の意志だ。僕は誰だっていい」
選べ。
僕は犬に選ばせた。
犬は選ぶしかなかった。
笑えるじゃないか。
命令ならなんでも従うくせに、命令なら苦しみもなく人の生命を奪えるくせに。
自分で決めるのはそんなに苦しいか?
犬?
犬の顔は見物だった。
でも犬は従う。
犬だから。
でも、今回ばかりはお前の意志が人を殺す。
「・・・3人殺せば、それ以上は殺さなくてすむぞ、爆撃もなくなる、民間人が死ななくてもすむ」
それでも僕は優しいので、犬の心が楽になる言葉を与えてやった。
いつも淡々とした表情しか浮かべていない、平凡な顔が憎しみに歪んでいた。
犬が言った。
「ゲスめ」
「お前のそういう顔、初めてだな、いいね」
僕は笑った。
楽しかったから。
犬は選んだ。
犬が選んだのだ。
自分の部下の死を。
そして、おそらく、敵の中で「戦える」精鋭が10人、今吹き飛んだ。
実にいい結果じゃないか。
犬の部下二人をエサと起爆剤にした結果に僕は満足した。
僕は入ってきた入り口へ戻る。
最初から、ここからアイツ等のとこへ行こうなんて思ってはいなかったからだ。
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