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V.S 11
女の子が悲鳴を上げた。
「全員、殺された・・・アイツ、自分の仲間ごと吹き飛ばした」
爆発音がした時から嫌な予感はしていた。
女の子は震えながら、半ば樹になりかけた少女から離れた。
公園のベンチに座ったままの姿から室内に土を敷き詰め、植え替えられていた。
まだ人間のようで、触れなければ樹とは思わないだろう。
樹になった仲間は、テレパシーが使える。
完全に樹になったモノは人間としての意志が薄くなり、こちらとの交流が難しいが、まだ完全に樹の形になっていないモノは、テレパシーで離れた場所にいる植物と交流できる。
それは、ボクやアイツを除く他の仲間にも有効で。
街でネットを操作している仲間との交信をしてくれていた。
そして、今は他の仲間の様子をモニターしてくれていた。
彼女はかなり離れた場所の植物達と交流が可能だ。
ただ、そのテレパシーを意志として受け取るには、誰かが、直線彼女に触れて、メッセージを受け取らなければならなかった。
彼女と一番仲の良かった女の子が、中継係となっていたのだ。
「・・・始末屋だって言ったな」
長老が言った。
「目的のためには手段を選ばんヤツだな・・・ナメてたよ」
長老が頭を振った。
ボクもナメてた。
捕食者の能力が見たかっただけだった。
まさか、能力以外で殺しに来るとは思わなかった。
しかも仲間ごと。
「・・・どこまで腐ったヤツや」
アイツが低い声で言った。
「一目見た時から気に入らんかった。・・・絶対シバいたる。あのボケ仕留めたら、このゲームは終いやな?」
アイツはぞっとするような笑みを浮かべる。
「調子のりくさって。絶対殺したる」
アイツは怒っていた。
そうだ。
あの男を殺せばゲームは終わる。
向こうの切り札はあの男だけで、しかもあの男は自分からこちらに突っ込んでくるのだ。
やりようはある。
あの男さえ殺せばいいんや。
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