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V.S 13
ボク達があつまっていた、昔団地の集会所だった部屋に、ドアをぶち破り、催涙弾が撃ちこまれた。
ボクはアイツを窓際に誘導する。
ボクとアイツには催涙弾は多少効果がある。
アイツが咳き込む。
窓際に立ったボクたちは狙撃される。
アイツが撃たれるのは嫌だから、ボクはアイツを抱きしめて、ボクの身体でアイツを守る。
ボクの身体を弾が貫く。
そんな痛みなどたいしたことはない。
「お前は優しいなぁ」
アイツがボクの腕の中で笑う。
雨の中で傘でもボクがさしかけたような気軽さで。
そして、10人程が突入してきた。
ガスマスクをつけて。
銃を撃ちながら。
「・・・さあ、みんな好きにし!殺された分殺し返すんや!」
アイツが叫んだ。
突入した連中が最初に見たのはアイツを抱き締める血まみれのボクだっただろう。
そして、次の瞬間、彼らのは貫かれた。
部屋の窓ガラスが割れる。
催涙弾の煙が消えていく。
部屋の中には、人の形をしていたのはボクとアイツと、部屋の片隅に植えられた半ば木になった少女だけだった。
部屋にいたのは、絡み合う触手が蠢く、彼らが見たことのない巨大な生き物だった。
無数の触手が絡み合い、一つの生き物のように蠢いていた。
その根とも枝とも言えない触手は、侵入してきた者達を貫き、部屋の窓ガラスや壁さえ貫いていた。
ボクらが人間であることを終わらせてあげた仲間達は、人間の形態さえ解けば、互いに絡み合い、一体となることができる。
部屋に突入した連中は、触手に串刺しにされて、ピクピクと蠢いていた。
腹を貫かれた者。
目から後頭部まで貫かれた者。
口から肛門まで貫かれた者。
貫かれ方さえ様々で、絶命した者も、まだ生きて呻いている者もいた。
「・・・化け物・・・」
まだ生きていて、喋れる者が呻く。
「人間やないて意味なら、誉め言葉やな」
アイツは笑った。
触手は貫いた者達を覆うように絡まり始めた。
触手は姿が見えなくなるまで絡みつき、そして、音を立てて締め上げた。
バキッ
バキッ
メキッ
音がする。
「うぎゃああ!!」
「嫌だ!!」
「助け・・て・」
叫び声が聞こえた。
触手の隙間から、赤い液体が滴り落ちていく。
グチョ
グチョ
触手が「それ」を丹念にこね回し、人間ではない固まりに変えているのがわかる。
ジュルジュル
それは触手に吸収されていく。
彼らの食事の代わりだ。
今日はおそらく数ヶ月分の栄養がとれるだろう。
「さあ、いこか、まだ外におるで」
アイツが叫んだ。
キシャア
キシャア
集合体が叫ぶような音をたてる。
触手は蠢きながら、壊した窓から外へ飛び出して行った。
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