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やっぱり自分がそっちだってバレて興味本位で面白がられてあの時みたいに·····。
自分は記憶が無いからそうじゃないとも言いきれない·····。
過去のトラウマと重なり、顔面蒼白になっていると向かえの律仁さんはお腹を抱えては笑ってきた。
不安で冷や背中から汗が吹き出てくる。
「冗談だよ。渉太くん、帰り際になっても全然目覚まさないから。君の家、大樹ですら知らなかったみたいだし、大樹も次の日の朝早かったから俺が引き受けてホテルに連れてきただけ」
「本当ですか·····?俺、変なことしてたら謝ります」
「大丈夫。君は誘惑なんてしてかこなかったし、ただ寝てただけ。俺も君を襲ったりもしてないし。でもホテルの部屋に着いた直後に戻してたから、洋服クリーニングに出すために脱がせちゃったけど·····」
そう言って律仁さんは先程、ルームサービスと一緒にホテルの従業員が持ってきていた、透明ビニールに入った洋服達を差す。
ハンガーに掛けられたパーカやジーパンは間違いなく自分のものだった。確かに本当のことっぽいが、この人の言うことは信じていいのだろうか。疑心暗鬼になる。
「渉太くんって割と疑り深いよね。流石に好きな人がいる人にそうゆうことはしないから。安心して」
「はあ·····。えっ」
とりあえず自分と律仁さんの間に何も無かったと事情を説明されたので信じることにしたが、律仁さんの放った発言に渉太は心臓が止まりそうになる。
誰にも自分に好きな人がいるなんて話していない·····。
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