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相変わらずいつ見ても大樹先輩は格好良くて、アイドルだったら役者担当の爽やかな真面目系な位置になってそうだなーと思ってしまう。
そんなことを思いながら凝視していたせいか、先輩と目が合い、透かさず逸らした。
今自分は気の抜けた顔をしていたんじゃないかと思うと途端に恥ずかしくなる。
逸らした目線から律仁さんに移すとニタリと
自分の様子を眺めていて、この状況を楽しんでいるようだった。
「渉太に強請られたから飯奢ってたとこ」
「·····!?」
律仁さんの発言に大樹先輩は目を丸くした。
変な誤解をされたんじゃないだろうかと背中に冷や汗をかく。
「強請ったりなんかしてないです·····そもそも律仁さんが俺にだって·····」
慌てて弁解しようと大樹先輩に説明していると、先輩はお腹を抱えて笑い始めた。
渉太はそんな大樹先輩の姿を見て呆気にとられる。
大樹先輩の笑顔は見たことあるけど、先輩の声を出して笑う姿は初めてみただけに新鮮だった。
「っははは。大丈夫、こいつよく冗談言うから。渉太とお前ほんと気が合うみたいで良かったよ」
「でしょ?」
自信ありげに言ってくる律仁さん。
律仁さんにからかわれる度に気を動転させている自分に疲れながらも溜息を吐いた。
「別に俺はこの人と合わないです·····」
「長山くん、お友達?」
先程から存在は気になっていたが、大樹先輩の半歩隣後ろから女性が顔を覗かせては先輩を見つめる。
差程派手ではない髪色に長いストレート。
例えるなら朝のニュース番組とかに出てそうな子だろうか。大樹先輩と並んだらお似合いの女性だった。
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