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初めて出来た共通点のある友達。 尚弥のピアノを鑑賞していた日課に、尚弥との会話も加わった。それが嬉しくて渉太が音楽室へと向かう足は更に弾んでいた。 尚弥は律の曲、音楽活動には興味があるみたいだが、ドラマに出ていること、一応アイドルの括りであることは興味がないみたいだった。それでも、少しは興味はあるのか教えれば頷いて聞いてくれる。 基本、尚弥は何を考えているか分からない人だった。だけどそれなりに会話をして打ち解けた頃に、ふと、軽く冗談を言ってみると、日ごろ無表情な彼の口許が綻んだのを見て渉太は「尚弥も笑うんだー」なんて揶揄いながらも 渉太の胸はキュッ締め付けられる感覚を覚えた。 自分でも単純なきっかけだと思うが、誰にも見せたことのない尚弥のその表情が少しだけ自分を独占的な気持ちにさせた。 もっと彼のことが知りたい。 もっと傍にいたい。 時折、廊下ですり違った時に女子生徒達に囲まれている彼を見て嫉妬したりもした。 好きだと自覚しても尚、友達という特権で毎日音楽室へ入り浸たるのを止められない。 加速していく気持ちに苦しくなりながらも、 胸の内を言い出す勇気は無かった。 どうかこのまま、尚弥が心を許してくれている一番の友人でいたかった。 昼休みを告げるチャイムが鳴り、仲良い奴らの誘いを断り真っ先に尚弥の元へと向かった。 はやる気持ちで音楽室の扉を4分の1程開けた所で何時ものピアノの音色ではなく、中で人が会話をしている声が聴こえてきては渉太は手を止めた。

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