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これじゃあ完全に公開処刑····。 目の前の本人に告白したあげくに、他の男に肩を抱かれてるなんて大樹先輩からしたら尻軽にもほどがある。 「な、何してるんですか。先輩これはっ違うんです」 せっかく変わらず接してくれている先輩に不愉快な思いをされたら·····と思うと慌てて目の前の大樹先輩に向けて否定をしてはジタバタと藻掻く。 「はははっ。渉太、気にしなくて大丈夫だ。律仁が渉太のことすげぇ気に入っての分かってるから」 大樹先輩が笑っているのをみて安心した自分がいた。 大樹先輩の器の大きさを目の当たりにしては、自分はどう思われるか気にして騒いでいたのが馬鹿みたいだ。 「てか、律仁、お前自分の車だろ。大丈夫なのか?」 先程笑っていた大樹先輩は、心配そうな表情をして、肩口にいる律仁さんに向かって話しかける。律仁さんは仕事終わりに駆け付けてきたっぽいし、俺がいたら余計に気疲れするだろうか。 ここはちゃんと断った方がいいだろうか……。 「やっぱり俺……大……」 「問題はないよ。俺が渉太と二人きりになりたいだけだから」 渉太が断ろうとすると、それに被せるようにして律仁さんが割り込んできた。 離さないと言わんばかりに肩を掴む手に更に力が込められる。 この人の行動に安易に心を躍らされるわけにはいかないと思っていても身体の熱は上がる一方だった。 しかも堂々と大樹先輩の前で……。 「夜遅いし、気をつけろよ」 「だいじょーぶ、だいじょーぶ 。 大樹って、なんかお兄ちゃんみたいだよね。俺の方が年上なんだけど 」 「部長がナヨナヨしてるわけにはいかないだろ?」 「はは、それもそーか」 たかだか律仁さんと大樹先輩がやり取りをしているだけなのに、律仁さんが喋る度に響いてくる声が笑い声でかかる息がこそばゆい。 距離が近いんだよな·····。 大樹先輩は「本当に気をつけて帰れよ。渉太もまたサークルでな」と再度注意を促してきては、大きく手を振り、駐車場の方へと去っていった。 渉太は小さく手を振り、律仁さんも先輩が見えなくなるまで手を振っては、いつ離れてくれるんだろうとずっと考えていた。

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