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「あの……律仁さん。いつ離れてくれますか?」
先輩が去った後も解かれることのなかった腕に痺れを切らして問いかける。
これ以上は心臓が耐えられないし、変な汗もかいていて律仁さんに気がつかれるんじゃないかと気が気じゃなかった。
「あーごめん。ごめん 」
渉太の問いかけに、やっと腕が解かれて熱が離れていった事に胸を撫で下ろした。
何事もなかったように平然とヘラヘラ笑って平謝りしてくる律仁さん。
凄く心に刺さることを言ってきたかと思えば、軽々しくスキンシップをしてきたりと、
本当にこの人は本気なのか冗談なのか判断するのが、難しい人だと思う
「というか……先輩の前で何やってくれてるんですかっ。二人きりになりたいとか……肩に手とか……」
自分で口に出しては恥ずかしくなる。
大樹先輩は律仁さんのこと良く分かっているからそれに深い意味はないと分かっているのかもしれないけど……
まるで恋人同士みたいで、そもそもまだそんな段階じゃないし、自分はまだ律仁さんをそうゆう目で見れていない。
「渉太と二人きりになりたかったのは本当だし、渉太だって何かいいかけたのに逃げようとしてずるいじゃん?」
「に、逃げたわけじゃないです。先輩を待たせると悪いかな·····って律仁さんならまた会ったときにでもいいかと思っただけです」
渉太は慌てて手を左右に振り、否定をした。
確かに律仁さんの言う通りだ。
逃げてはいないけど、言いかけたのを途中にして帰ろうとしたので聞かされた方はモ
ヤモヤするよな……。
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