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公園に辿り着くと、高校生が言っていたように、まだドラマの撮影の最中だった。 中には入らずに、長方形型の石が等間隔で置かれ公園を囲っている塀の外から眺める。 初めて見る光景……。 周りには沢山のスタッフやら、演出家が小さめのモニターをアウトドアチェアに腰を掛けては真剣にモニターを見ている。 とても部外者が平然として入ってはいけない、緊迫した状況。 そのモニターの数メートル離れた場所に、自分が一目見たかった人物が居た。 公園の遊具の前で、何やら女優と掛け合いをしているようだった。 ドラマでは、その女優さんが上司役だった。 黒髪ロングで何処か姉御肌を感じさせるイメージが強い女優さん。 その女優さんも、正しく誰もが憧れる理想な強い大人の女性のイメージでかっこいいが、 渉太はどうしても律に目が行ってしまっていた。 背が高くて紺色のスーツ姿も似合ってる。何よりその女優さんとも負けてない芸能人オーラ。 改めて自分とは住む世界が違う人なんだと思い知らされては、自転車のハンドルを握る手が汗でびっしょりだった。 しばらくして、監督のカットがかかり、律や女優さんがモニター前に集まってくる。 ふと振り返った律と目が合ってドキッとした。 周りは誰もいないから明らかに自分な気がする………。 映像の確認やら何かが終わったのか、 撮影スタッフや共演者が散った瞬間に律が此方へと一直線に向かってきていた。 ヤバい、撮影の邪魔してたかも………。 ただ突っ立って見ていたとはいえ、大半の人は近隣住人や、周りの迷惑を考えて立ち止まったりなんかしない。 それに、都心じゃドラマの撮影現場なんて珍しくないから……。 だから、律に常識のないファンだと思われてしまったかもしれない。 今すぐ立ち去って逃げた方がいいだろうか………。 でも、律が各自に自分に向かってきてるのに逃げるのも失礼だろうか………。 ここは潔く謝って立ち去る方がいいかな………。 そんなことを考えていると、塀を挟んで自分とあと1メートルもない距離に先程まで遠巻きに見ていた憧れの浅倉律の顔があった。

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