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恥ずべきことではないと思っていても、少数派の中で堂々とする勇気はある訳もなく。 ファンであることをバレてしまったらバイト間の中で広まってしまうのでは無いかと心配していたが、自分が密かにしているとを気遣ってくれているのか、今のところこの事は花井さんしか知らない。 「それは…もちろん格好良かったよ」 品出しをしている手を止めては振り返る。 すると、花井さんは「いいなー」と呟いてはパンを片手に羨望した眼差しをこちらに向けてきた。 「あたしも行ったんだけど、あの一時間後じゃもういなかったんだー」 花井さんは特に律のファンというわけではなないらしい。ただ、芸能人が近くにいるってなったら誰だって見に行きたくなる。 それに律ぐらいの有名人なら尚更。 ホント自分は運が良かっただけだと思う。 「一度でいいから芸能人、見てみたいよねー」 がっつくわけでも、妬むわけでもなく優しく微笑んできては再び花井さんは作業に戻っていった。 渉太も品出しを終わらせてしまうとピークが過ぎて客がいない店内の入口からピンポーンとセンサーチャイムがよく響いた。 帽子を深く被った男が入ってきては、コンテナを仕舞いに行った渉太とすれ違い、すれ違様に「いらっしゃませー」と声を掛けては裏へと片付けに行った。 片付けから帰ってくると、タイミングよく、先程入ってきた男がレジ前に一直線に向かおうとしていたので小走りで男が到着する前にレジへと入った。 男は数缶のお酒を手にして、渉太が入るほぼ同時にカウンターにそのお酒達を置いた。 一つ目の缶をスキャンした所で「37番2個もらえる?」と言われたので背後の煙草の37番の銘柄を手にした。 「こちらで間違いないで……」 煙草の確認しと同時に顔を上げては目の前のお客の顔をそこで初めて見ると、予想外の人物に渉太は息を飲んだ。

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