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午後22時。アルバイトが終わり、少し急ぎ足で制服を着替えた。急がなくていいと言われていたが、一時間近くも待たせていると思うと自然と焦りが出る。 店の出入口から真っ先に店の駐車場に止まっている黒い乗用車の助手席に乗り込む。 「遅くなってすみませんでした」と謝ると 「渉太。堅い、堅い 」と律仁さんに高笑いをされてしまった。 そんなこと言われてもこっちとら数ヶ月ぶり に会ったのだから、どういう風に律仁さんと接していたかなんて忘れてしまっている。 渉太は内心、不貞腐れていると、それが表情に現れていたのか「近くで時間つぶしてたから気にしないで、俺が勝手に待ってただけだから」と付け加えられた。 律仁さんの言う通り返事を聴かずに強引なところは相変わらずだが、何だかこう今まで見てきた律仁さんさんと何処か違って元気がないように見える……。 気のせいだろうか……。 渉太はかえって気を遣わせてしまったのかと思って萎縮した。 「渉太にさぁ、逢いに行きたかったんだけど、どうしても暇ができなくてさ。こないだ仕事前に渉太が此処で働いてるのたまたま見つけて、今日ならと思って寄ってみたんだ 」 律仁さんが現れたのが自分が教えたからではなくて、自分をたまたま見つけたからと言うのに驚いたが、大学から一駅程度しか離れていないし、見つかる人には見つかる。 「渉太は俺にそろそろ逢いたいなーとか思わなかった?」 口元をニヤつかせながら、先程購入していた電子たばこを本体に差していた。 自分が思っていたことを読まれているような問いかけに動揺する。 まさにその通りで、自分も律仁さんに会いたいと思っていた。 沢山話したいこと、聞きたいことがあった。 だけど、正直に言うのは照れくさい。 「そんなことは……」 「そっかー。てっきり、 相思相愛かと思ってたんだけど」 渉太が自信なさげにそう呟くと、律仁さんは少しがっかりした様子だった。 律仁さんを見てここは、正直に「会いたかった」と言うべきだったかと後悔したが、今まで衰退していたと思っていた律仁さんとの関係が急に動き出して、自分の心は直ぐにはついていけていなかった。

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