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もしかして間違ったことを言ってしまったのかと不安に駆られたが「だけど、渉太のそういうところ好きだな」と隣で呟かれては、悪い意味ではなかったのだと安堵したと同時に 、サラッとそんなことを言って持ち上げてくる律仁さんは狡い。 渉太が俯いては後の言葉に戸惑っていると、 律仁さんに「渉太、お腹空かない?」と問われて渉太は「空きました」と小さく頷いた。 確かにバイト終わりで何も食べていなかったし、律仁さんには気づかれてないかもしれないが微かにお腹も鳴っていた。 「渉太は何か作れる人?」 「簡単なものでしたらできますけど……」 「じゃあ渉太に甘えていい?渉太が作ったものが食べたい」 律仁さんはニッと口角をあげて笑う。 律仁さんのそんな笑顔をみて断ることができるわけもなく、かと言って嫌な気はしない。 渉太は立ち上がっては、キッチンの隣の冷蔵庫を開けると、今すぐ簡単に作れるものを探した。 「疲れてるのにわがまま言ってごめんね、材料費は出すからさ」と冷蔵庫を漁っている途中で背後から聞こえてきたが、渉太は大して気にしていなかった。 いつもこのくらいの時間から晩御飯を作り始める事が多いし、だいぶ前にお弁当を律仁さんに奢って貰った恩もある。こんなこと位でしか返せないが、お易い御用だった。 しかし、買い溜めはあまりしない派なので、渉太の冷蔵庫の中身で作れるものと言ったら限られていた。 辛うじてパパッと作れそうなものが焼きそばくらいしか無くて、渉太は目に付いた焼きそばの袋を手に取った。 蒸し麺とソースか付いていて後は、具を切って炒めるやつ。 手料理ってほどの大袈裟なものかは、胸張って言い難いが、肉とキャベツともやしと人参があったので麺も全て使って具だくさんのものを作ることが出来た。 出来た焼きそばを大皿に盛ってテーブルに置くと律仁さんは「うまそー」と声を漏らしては「いただきます」と箸を取った。

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